進化を見せた全日!2年連続の男女アベック準V!

◇第66回全日本学生選手権大会◇11月14日◇大阪府立体育館◇
【男子】準優勝
【女子】準優勝
【技能賞】植田
昨年の男女アベック準Vから1年。今年こそ男女ともに王者となるため、おのおのがレベルアップをはかってきた。今大会の2週間前には秋季合宿も敢行。優勝にそれだけひたむきだった。1年間の努力の成果は初戦から見え、決勝までは危なげなく進んだ両者。しかし、昨年に続き男子は明大、女子は立命大を倒せず、再び全国2位となった。
先に行われたのは男子。初戦は近大と相まった。近大は今年度、新型コロナウイルスによる部員の感染を避けるため、全日本学生選手権大会(全日)までの全ての大会を辞退している。そのため、関大もどんなチームか分からないまま手探りで臨んだ。だが、そんな心配は杞憂に終わる。6-1の圧勝で次のステージに進む。

2回戦は名城大と一戦を交えた。先鋒から三峰まで不戦勝。勝利にはあと1勝のところで中堅・北岡央良(法4)が登場する。6秒で面突き蹴りを許してしまう。ここでダメージを受けずに果敢に攻めていくも、2本目を与えてしまい、苦杯をなめた。次にバトンを受け取ったのは三将・川内宝(商2)。胴蹴りが入り1本目を手にすると、その勢いで相手に1本も渡すことなく2本目を決めた。この時点で関大の勝利が決定し、次ぐ副将・植田甫空杜(ほくと=法3)、大将・村鞘風太主将(商4)も勝ち星を重ね、初戦に続いて6-1で快勝を果たした。

2回戦終了後すぐに行われた3回戦では大経大と対峙(たいじ)。先鋒・長谷川元望(法1)が先陣を切る。目標としている舞台はあくまでも決勝。ここで負けてはならない。そんな中、1本を相手に取られてしまう。それでも諦めない長谷川。取られてすぐに1本を取り返し試合を振り出しに戻す。どちらがあと1本を取るかというところで後ろで待機するメンバーの声。それをエネルギーに変え逆転勝利を収めた。続く大平翼生(社3)は蹴りで1本を獲得していこうとするが、相手に胴を突かれ敗北を喫した。以降のメンバーは難なく勝利。この日3度目の戦いにして3度目の6-1で白星という好調さを見せた。

関大男子の勢いは止まらない。昨年は龍大を前に苦戦した準決勝。今年は大商大を前に戦う。先鋒としてマットに上がった桑原良弥(商3)は、村鞘主将にとってこの日最も印象に残る一戦を繰り広げた。先制の1本は奪われてしまうも、攻めの姿勢をやめることなく制限時間いっぱいに攻める。それが奏功し、2-1で勝利。劣勢をひっくり返した。桑原の勝利で士気が高まったチーム。危ない試合展開だった中堅・長谷川も同点に抑え6-0で決勝に挑むこととなった。

男子の決勝を残し、女子の初戦が始まった。初戦の相手は東洋大。先鋒・福山莉央(文3)の戦いでは、混戦し一時中断もあったが最後は相手を倒し上から拳を突き勝利。この勝利を皮切りにメンバー全員が1本も取られることなく2回戦に進んだ。

2回戦は昨年度の3位校・京産大だ。強豪を前に拮抗(きっこう)した争いを中堅・鈴木綾華(文1)がするが、なんとか1本を先取。そのまま2本目は取ることはできなかったが1-0で終える。ここで勝ちを決めアンカーの尾藤はるな(文4)は安心した状態で大将戦に挑むことができた。華麗に押さえ込み膝蹴りを決め2連勝で決勝戦につないだ。

迎えた決勝。昨年の優勝校である立命大から優勝旗を取り返したい。その思いを先鋒・福山からむき出しにする。1本目は押さえ込み胴突きを許してしまうも、面突きで1本を奪い返し勝利に望みをつなげる。仲間からの「ファイト―!」の声に拳を米戦っていたその瞬間、福山が1本を挙げる。会場は歓声に湧いた。次に襷を受け取ったのは中堅・鈴木。全日3回目の経験豊富な選手に気負いをしてしまう。0-1の中でも胴突きを1本決め流れは関大に向いた。勢いそのままに勝利し、関大の優勝を決めた上で尾藤へつなぎたかったが相手の蹴りが胴に入ってしまう。関大1-1立命大で決着は大将戦にもつれ込んだ。「私が取り返せば優勝」(尾藤)というプレッシャーを力に変えることができず。関大女子の準優勝が確定した。


女子が果たせなかった頂点。男子が果たしてみせる。今年も明大とチャンピオンの座を奪い合うこととなった。先鋒・籠谷郁吹(経2)は関節技を繰り出され先制を許してしまう。昨年であれば、次も1本を相手に奪われストレート敗北。だが、1年で強さに磨きをかけた籠谷。1本を取り返し1-1とする。次取れば勝利だったものの、相手の方が一枚上手だった。次鋒・八木大輝(法1)がリベンジを誓う。1本を先制された試合展開で、取り返すタイミングをはかったが惜しくも敗北。次で相手に勝ち星を与えてしまうと優勝がくすむところで三峰・長谷川が同点で終える。0-2で中堅・川内が勝利を逸すると、三将で登場したのはエース・植田だ。初めの1本こそ取られてしまうものの相手を警告に誘うなど植田の空気感にしていく。そこから1本、2本と重ね、チーム唯一の勝利を挙げた。決勝戦まで体力を温存していた佐野晃太郎(政策4)も植田に続きたい。しかし、実力を突き付けられわずか20秒で敗れてしまう。関大がここで優勝を取りこぼしてしまう。それでも村鞘は勝利でこの明大戦と4年間の大学拳法を締めくくりたい。だが、思いは叶わなかった。1-4で終幕となった。







準決勝決定後涙を流した女子、次こそはと強い決心をした男子。「もっともっと練習して頑張ってほしい」と村鞘の言葉通り、稽古に取り組んで、来年はどちらも笑顔で全国制覇してみせる。【文・写真:木原綺音】


▽村鞘主将
「(チームのコンディション)良かった。みんなで打倒・明治で、明治の動画いっぱい見たり分析して、頭も体調も良かった。(明大戦前は)対明治であればどこで引き分けに持っていくかとかではなく、全員で勝ちに行くという感じだった。(印象に残っている一戦)準決勝の先鋒の桑原の試合が1番印象に残っている。(新チームに期待していること)去年も明治に負けて、今年も明治に負けて…来年こそは明治に勝って全国優勝してほしい。(後輩に向けてメッセージ)ここまで練習したという自信はあって(全日に)来たけど技術的にも体力的にもレベルが全然違ったので、もっともっと練習して頑張ってほしい。(同級生にメッセージ)僕はだいぶポンコツだったけど、救ってもらって色々助けてもらったので感謝しかない」
▽尾藤女子主将
「(チームのコンディション)チームのコンディション的には悪くなかったと思うし、みんなで、さあ行くぞ!という感じで一致団結もできていたから良い状態で臨めていたと思う。(印象に残っている一戦)最後の決勝戦は先鋒勝ってくれて次鋒もすごく惜しい中で、私が取り返せれば優勝できたのに自分の力不足で負けてしまった。でもチームだけじゃなくて最後は監督も泣いていて、みんなのところに帰ったらみんなもお疲れさまと言ってくれて、悔しかったけど嫌な悔しさじゃないというか。言葉で言い表すのは難しいけど、悔しさの中にも関大拳法部で良かったなと思えるような一戦だったと思う。(新チームに期待していること)新チームは男子は推薦で入ってくるし、来年も戦力は落ちないと思う。ただ女子が推薦が入ってこないので、そこは心配なところでもあるけど、そこで腐らずに男子に混じって練習したりして私がいなくてももっと良い成績を残してほしいと思う。(同級生にメッセージ)4年間温かいメンバーで家族みたいにできたのが嬉しかったし、動機の中では私はハッキリもの言うし気も強かったと思うけど、それも受け入れてくれて心の広いチームだったと思う。(後輩に向けてメッセージ)本当にみんな可愛くて、最後合宿したときも引退前からウルウルしてしまうぐらい1人1人良い子で可愛くて、もう少し一緒にいたい。でももう拳法はしたくないので(笑)1年間幹部としてやってきたけど付いてきてくれてありがとうと言うのとこれからも応援しているので、できることがあれば相談してきてくださいと言いたい」
▽福山
「(チームのコンディション)万全だったと思う。みんなずっと決勝まで全勝だったので、練習の成果は出ていたと思う。(印象に残っている一戦)最後の立命大戦。絶対に負けられないという気持ちだった。最初取られて倒されたけど、そこから2本取り返してチームの勢いも上がってきたかと思う。(どんなチームにしていきたいか)やっぱり目標は来年の全日で優勝すること。チームとしては今のチームよりも強くなりたい。(4年生に向けてメッセージ)はるなさん。4年間お疲れさまでしたというのと、1つ上ということで初心者で入部したときからずっと面倒を見てくれていて、練習も程よく厳しく教えてもらって、その成果を最後の試合で出せたかなと思う。寂しいのでまた練習来て指導お願いしますと言いたい」