チーム高橋終幕。王座で入賞ならず

◇2021年度全日本大学対抗王座決定試合◇11月13日◇愛媛県総合運動公園◇
【男子】
関大9ー0近大
● D1 中村秋・清原0(2-6,1-6)2田口・河野
● D2 大植・中0(3-6,4-6)2松田・中屋敷
● D3 松田・平川1(6-3,4-6,2-6)2藪田・平石
● S1 松田1(6-2,0-6,2-10)2松田
● S2 大植1(7(2)-6,3-6,5―10)2田口
● S3 高橋1(4-6,6-4,4―6)2河野
○ S4 堀川2(3-6,6-4,6-2)1冷水
● S5 山中0(0-6,1-6)2宮田
○ S6 中2(2-6,6-2,6-2)1川田
今年の王座も大詰めを迎えた。3位決定戦で戦う相手はこれまで何度も戦ってきた近大。長年守ってきた3位の座を懸けて戦った。ダブルスでは厳しい戦いが続くも、シングルスでは多くの選手がファイナルセットへ持ち込む。最後まで食らいつく奮闘ぶりを見せたが1歩及ばず。3位として表彰されることはかなわなかった。

先陣を切ったのはダブルスの3組。D1の中村秋河(商2)・清原幹太(社2)組は第1セットを粘り強いプレーで2ゲームを奪うものの落としてしまう。第2セットはデュース戦の末に2度のブレークを奪われると巻き返すことができず、敗北を喫した。

D2の今大会初めてペアとなった大植駿(文3)・中基(社1)組は第1セット、相手のサーブに苦しみ、ミスが続き落とす。第2セットはお互いの息が合い、ボレー戦をものにする。一進一退の展開が続くが第9ゲームでブレークを奪われると突き放され、敗れた。

D3としてコートに立ったのは平川暉人(人4)・松田康希(商3)組。珍しい2人の組み合わせとなったが、安定したプレーでサービスゲームを全てキープし、6-3で第1セットを先取する。しかし、第2セットはギアを上げてきた相手に押されてしまう。逆転したいところだったが、相手のサーブの精度が徐々に良くなり、ブレークを奪うことができなかった。セットカウントは1-1になり、相手は勢いづいていた。ファイナルセットも流れを変えることはできず、敗北を喫した。

ダブルスが終わっていく中、次にS5の山中とS4の堀川がコートに入った。S5の山中は序盤からアウトする球が目立ち、第1セットをストレートで落とす。第2セットではラリー戦を制し1ゲームを取るも、相手のペースが続き、反撃はできなかった。この時点で勝敗は0―4と非常に厳しい戦いとなる。

4-0と後がない状況で試合に臨んでいたS5高橋勇人主将(経4)。2-5から2ゲームを連取するも、追い上げはかなわず、第1セットを奪われた。しかし、続く第2セットは主将の意地を見せ、ラリーを制した。セットカウントが1-1となり、試合はファイナルセットに突入。3-3で迎えた第7ゲームでブレークを許すと、戦況は徐々に相手に傾いた。その後、死闘を尽くすもブレークバックできず、4-6で試合終了となった。

S4の堀川は第1セット、得意のフォアハンドストロークで果敢に攻めるも丁寧に返してくる相手に苦戦する。しかし、第2セットでは2度のブレークバックに成功すると、第10ゲームでもブレークを決め、セットカウントを1-1に持ち込んだ。ファイナルセットでは堀川の強さが上回った。相手が何度もメディカルチェックを取り苦しい中、攻めのプレーを見せる。最後まで諦めないプレーで5ゲームを連取し、関大に1勝目を持ち帰った。

S6の中は序盤は相手の流れに。空いているコースに打ち込まれ2ー6で第1セットを落とす。しかし、ラリーの主導権を取り、第2セットを手にすると勢いに乗った。第3セット、第1ゲームでブレークを奪うことに成功すると、その後はサーブが次々に決まり、ゲームを連取。最後はドロップショットを上手く使い勝利した。

S2大植は、強烈なストロークが武器の相手と対戦。ハイレベルなラリー戦を粘り勝ちで制し、第1セットを奪った。しかし、第2セットは先行される。一時は3ゲーム差をつけられたが、なんとか追い上げ3-4に。続くリターンゲームで、先にゲームポイントを握るも、デュースが何度も続き、最終的に相手がキープ。そこから巻き返すことはできず、2セット目を奪われた。関大の敗北が決定していたため、ファイナルセットは10点先取タイブレークが行われた。相手の強気なショットに対応することができず、5-10で黒星を喫した。

S1松田は、いつも通り落ち着いたプレーで第1セットを先取する。しかし、第2セット以降、調子を落とし相手の独壇場に。メディカルタイムアウトを取るが、10点先取タイブレークでも、本来の実力を発揮することはできなかった。2セットを奪い返され、敗北を喫した。



2年ぶりの王座は4位と悔いの残る結果となった。この試合を終えてチーム高橋は終幕。王座優勝の夢は次の代へと託された。関大テニス部は新たなスタートを切った。【文/写真:遠藤菜美香、荒川拓輝】
▼高橋主将
「(王座を終えて)関係者の方々、初めに様々な形でサポートしていただきありがとうございました。結果は3位決定戦で近大に2-7で負け、4位でした。(4位という結果について)初めに、歴代の先輩が築き上げた王座3位の記録を止めてしまいました。しかし、これまでで1番チームとしての強さを見せることができ、かつ優勝に1番近い王座だったと感じています。これまでの団体戦で誰かの試合に誰かの試合が影響されるという場面はそう多く見られませんでした。そういった形だけのチームを変えたいと思った私は、去年の幹部交代式から自分たちでトレーニングを組んだり、部員同士の関係が円滑になるようコミュニケーションを多く取って個人の意見を尊重するなど、新しいことにチャレンジしてきました。それは、決して楽な道のりではなく、選手個人の結果を見ると層としては厚いチームにすることはできませんでした。だからこそお互いが支え合いつながることで保っていられる、または強くなれるチームを作れたと感じています。サッカーでよく言われる最も強い結束力とは、最も弱い輪でできているのだということを改めて実感しました。私たちは、この本当のチーム力の片鱗をこの王座で見せることができたと思います。それは慶應戦での誰かが頑張れば、それが他のコートの試合に伝播していく、そしてそれが新たな可能性への扉を開くといういい流れが作れた時に感じました。近大戦では、それが裏目に出て悪い流れにつられるという甘さも出てしまいましたが、それでも持ち直したのはここまでやってきたことが間違っていなかったことの証明だと思っています。(主将やっていて良かったと思うこと、苦しかったと思うことはあったか)良かった事はチームメイト全員とコミニュケーションを取れたことです。苦しかった事は、チームにとって必要だと思ったことがチームメイトが求めてないと知った時です。その解決方法を探すのが苦しかったです。(関大テニス部の1番の思い出は)全て一番の思い出です!(後輩にむけて)次の代には強い個を育てつつ、チームとしてより強い絆で結ばれてほしいと思います。次期主将の松田はプレーでチームを引っ張る事は出来ると思うので、部員の声を聞き一つの方向に向かってほしいです。また他の部員は松田をサポートしつつ新たな発想と行動でチームをより良くしてほしいと思います。今年の悔しさを糧に関大は来年優勝します。後輩達をよろしくお願い致します。(大学でのテニスを振り返って)関大に進学するきっかけとなったのは山本コーチが声をかけてくれたからです。それまでシングルスで全国の舞台に立ったことがありませんでしたが、山本コーチ指導のお陰で全国32になる事が出来ました。本当にありがとうございます。一回生の時は自分勝手に振る舞って周りに迷惑ばかりかけてしまいました。沢山の先輩方に指導していただき少しは大人になれたかなと思います。最後の王座は僕の大学4年間を全て表現できた試合だと思います。全身痙攣、怪我、ハプニングなど、それすらも楽しんで戦えた事は僕にとって最高の宝物です。(4年間歩んだ同期に向けて)4年間迷惑を沢山かけたけど、いつも助けてくれてありがとう。間違った時は叱ってくれてありがとう。感謝しかないです。特に自分が主将になってからは、みんなで役割分担してチームを作れたのは本当に楽しかったし良い経験ができました。これから別々の道に進むけどお互い頑張ろう」
▼平川
「(王座を終えて)優勝を目指していた中での4位はとても悔しい結果でしたが、来年以降に繋がるチーム力や後輩の活躍があり来年に期待したいと思います。(大学でのテニスを振り返って)テニスの技術以上に人間的に成長できたのかなと思います。自分で考えて行動しなければならない事が多くなったり、自立することや精神的にも大人になれたのかなと思います。(関大テニス部の1番の思い出は)今年の王座が1番の思い出になると思います。準決勝の慶応戦ではチームを鼓舞するプレーが随所に見られて良かったと思います。特に0-4で後1敗すると打ち切りになってしまう場面で勇人が最後まで粘って戦い続けてカッコ良かったし、来年以降に繋がるいい試合だったと思います!(後輩に向けて)部活に打ち込めるのもこの大学4年間が最後だと思うので悔いのないように頑張って!(4年間共に歩んだ同期に向けて)みんなのおかげで4年間やり切れたと思います。楽しい4年間をありがとう!」
▼山中
「(王座を終えて)目標としていた日本一には届かない結果だったが、このチームでここまで戦えたことに感謝してます。(大学でのテニスを振り返って)色んなことがあった4年間でしたが、テニスはもちろん人として成長できた4年間になりました。うまく行かないことの方が多く、何度も心折れそうになりましたが、チームメイトの支えもあって最後までやり抜いたことは本当に自信になりました。(関大テニス部の1番の思い出は)2年目の王座出れなかった事です。笑(後輩に向けて)頑張れば必ず報われるわけではないと僕は思いますが、努力してテニスに真剣に向き合う事でテニスも人間としてもさらに成長できると思うので頑張ってください。きついときは仲間に頼って。(共に歩んだ同期に向けて)本当に4年間ありがとう。良くも悪くも今までとは違う同期っていう印象でなかなか打ち解けられなかった時もあったけど、最後まで4年間一緒に部活できて楽しかったです」
▼向井大輝(法4)
「(王座を終えて)慶應や近大に負けてしまったのは残念ですが、後輩の試合の応援を通して来年は必ず接戦を制し勝利することへの可能性を感じさせてくれました。来年の関大の活躍を応援しています。(大学テニスを振り帰って)自分が長年継続してきたことの集大成とも言える四年間であり、結果を残そうと一番努力した四年間でもありました。何かに熱中することの素晴らしさを大学テニスをもって知ることができたのは自らにとって価値あることだと感じます。(関大テニス部の一番の思い出)一回生のリーグ~王座間の仕事人生活が自分の中では一番きつく、あれを経験しておけば大体の苦痛は比較的マシと言いきれるほどでした。顔つきが変わるほど磨り減らしながら過ごした日々は今は力強い一番の思い出として私の中に残っています。(後輩に向けて)自らの望む結果が欲しいと思うなら、それを叶えるために努力し続けなければなりません。何の努力もせずに朝起きたら急に強くなっていることなどあり得ません。地道に継続的に行った努力が長い時間をかけてやっと小さいチャンスにつながります。それを掴むために例え苦手なことでも我慢して挑戦し続けることが結果を出す近道だと思います。(4年間共に歩んだ同期に向けて)4年間の間に何人かが離脱してしまいましたが、何とか10人で走りきった4年間でした。理不尽に苦しめられようともずっとこの部活を続けてこれたのは同期という存在が助けになってくれたからだと思います。みんな本当にありがとうございました。それぞれ向かう道は違えども、武運長久を祈ります」
▼須田宗次郎(人4)
「(王座を終えて)王座を終えての感想は今までで1番優勝に近かかったかもと思いました。慶應戦での試合はどれも少しの差で1つ何かが違ったら全部勝っていたようなそんな可能性を感じました。(大学テニスを振り返って)大学でのテニスを振り返ると、結果はあまり出ませんでしたがすごく上手くなった気がします。色んな選手と出会って打つことでたくさんのことを吸収できました。(関大テニス部での思い出は)関大テニス部での1番の思い出は、入学早々走らせれまくったことです。(後輩に向けて)後輩には、逃げないでと伝えたいです。できないと諦める人が多いかもしれないと思いますが、それはただやりたくないだけだったりできるけどしんどいことだったりするのでそれらから逃げずに向き合ってほしいです。そこから逃げるとやっぱり後になって後悔すると思います。(4年間共に歩んだ同期に向けて)ありがとう、またどこかでって感じです。このメンバーだから乗り越えられた4年間で、人生のまたどこかで会えたらいいなと思います」
▼上田廉(商4)
「(王座を終えて)自分が経験した王座の中では一番優勝の可能性を感じました。慶應戦、近大戦共に結果としては大差での負けになりましたが、それぞれの試合内容を見ると最後までどちらかが勝つか分からない試合が多く、ワンチャンスを活かせれば関大が勝っていたのかもしれません。たくさんのご声援ありがとうございました。(大学でのテニスを振り返って)入部当初の実力を考えると少しは成長できたのかなと思います。それでも公式戦で結果を出せなかったのは何よりも悔しいです。(関大テニス部の一番の思い出)1年生の時の冬トレ合宿。冷たい雨の中、砂利浜で匍匐前進、お尻歩きなどのトレーニングを凍えながらやったことは忘れれる気がしません。(後輩に向けて)1年間このチームについてきてくれてありがとう!結果として今年は王座4位という事になったけど、下級生の活躍だったり、試合の勢いを見てると来年こそは王座優勝を達成できると思います。松田と天音を筆頭に男女共最高のチームを作り上げてください!(4年間共に歩んだ同期に向けて)4年間ほんまにありがとう!振り返るとみんなとは数え切れないぐらい沢山の辛いことも楽しいことも一緒に経験してきて、本当に密度の濃い毎日を過ごした気がしてます。みんなが頑張ってるのを見て自分自身もっと頑張ろうって思えたし、辛いことも乗り越えてこれました。この10人で最後までやり切れたことが何より嬉しいし、「この代でよかった!!」って胸を張って言える最高の同期です。ありがとう。これからもよろしく!」
▼上村直輝(情4)
「(王座を終えて)まずはここまで一緒に戦えた部員スタッフ、王座を開催してくれた学連、協賛の方々に感謝したいです。また、ここまでテニスを続けさせてくれた両親にも感謝したいです。王座は結果として4位に終わってしまったけど、充実した日を過ごせたし、結果は惨敗だったけど、どの試合も諦めず最後まで頑張ったと思う。コロナ禍で少人数ではあったけれど、現地を含め速報やライブを見てくれたり、本当にたくさんの応援ありがとうございました。(大学でのテニスを振り返って)一回生の時に自分の実力の無さを思い知ってまずは本戦出場を目標にしようと頑張った。くすぶっていた時もあったが、本気で最終的には本気で向き合って3年の新進でやっと目標を達成した。高校テニスと違って短時間での練習で試合は3セットマッチという長期戦なので、日々の練習を要領よく成長につなげていくことが大事だと実感しました。(関大テニス部の1番の思い出は)入部前にテニス部のグループラインに入れてもらって挨拶の文章を間違えて当時の4回生に怒られた事です。その時、串カツ屋にご飯を食べに行ってたのですが、恐怖で何も喉を通らず、入部する前から退部が頭をよぎりました。(後輩に向けて)1年間自分達の学年のチームについてきてくれてありがとう。従順じゃない後輩の行動が自分にとって新しい考え方のヒントになったり刺激的な日々だった。自分が主務として4回として何かしてあげたわけではないけれど、部員全員と話せて、遊んだりして幸せでした。テニスに関しては、練習の時間を流れるように過ごすのではなく自分で考えて課題を持って練習すること。チームに関しては、一回生はひたすらに仕事を見つけて先輩、スタッフが求めるクオリティ以上には最低持っていくこと。最高学年は一時的な考えではなく長期的、計画的に考えて最善の選択を自信を持って行動すること。その間の学年はその両方を実行する方法を模索すること。(4年間共に歩んだ同期に向けて)入部した時は全国的に名前の売れている選手もいてうまくやっていけるか不安だったけど、同期はみんな優しくて常に居場所があって楽しい思い出がたくさんできました。理不尽なことも多く当初の人数全員で引退の日を迎えることはできなかったけれど、10人でここまでこれたのは自分の中でかけがえのない財産だと思います。これからは別々の道にいくけど、どこかでまた会えたらいいなぁと思っています」