神宮大会出場は叶わず

◇第52回明治神宮野球大会関西地区第2代表決定戦準決勝◇対龍谷大◇11月2日◇南港中央野球場◇
関 大 000 000 010=1
龍谷大 000 004 00✕=4
(関)鷲尾、桃尾、辰己-有馬
(龍)伊藤-土井
1(中)安藤
2(右)中井颯
3(遊)野口
4(三)久保田拓
5(一)上神
6(捕)有馬
7(二)坂之下
8(左)内田崚
9(投)鷲尾
神宮大会出場に向けての大事な一戦。先発のマウンドには鷲尾昂哉(経3)が上がる。鷲尾が先発として登板したのは9月26日の近大戦以来となった。6回、2本の本塁打と安打が続き4点を先制される。打線は8回に1点を返すものの、逆転することはできず黒星。関大の勝利の女神は微笑まなかった。

1回、中安打を放たれ走者を出すも、鷲尾の粘りのピッチングで得点を許さない。2回、3回も両者ともに三者凡退に倒れ、スコアボートには「0」が並ぶ。

4回、関大に好機が到来する。先頭打者の安藤大一郎(経4)が安打を放つと、続く中井颯良(政策2)の巧みな犠打で安藤を二塁に送る。さらに野口智哉(人4)が四球で出塁し、1死一、二塁と好機を得るが、得点には結び付かず。


5回、なんとか先制点をあげたい関大が再びチャンスを作る。1死から坂之下晴人主将(人4)、内田崚太(政策3)が連続安打を放ち、1死一、二塁となる。続く鷲尾が犠打で送るも、反撃できず無得点に終わる。


試合が大きく動いたのは6回。本塁打で1点を先制され、龍谷大の流れは止められない。連続安打で1失点、さらにこの回2本目の本塁打で2失点を許してしまう。痛恨の4失点となり、ここで鷲尾は降板。代わってマウンドに上がった桃尾岳宜(情4)が三振に抑える。

4点ビハインドで迎えた7回。坂之下と藤﨑悠(環都4)の連続安打で1死一、二塁と健闘するも、龍谷大に追いつくことはできず。その裏、桃尾に代わってマウンドに上がった辰己晴野(人3)が、テンポの良いピッチングで三者凡退に抑える。


8回、先頭打者の中井颯に続き久保田拓真(社4)が安打で出塁し、1死一、三塁とチャンスを迎える。続く有馬諒(商2)の右適時打で、関大は1点を返す。その裏、1死から坂之下の好セーブで併殺。関大は最後の攻撃を迎える。



最終回、代打の久保田有哉(情4)が四球で出塁するも、逆転は叶わず敗退。この試合が4年生のラストゲームとなった。二直を放ち最後の打者となった中井颯は、「すみません」と泣き崩れる。中井颯を慰める野口と久保田拓の背中はやはり大きかった。



「皆ついてきてくれて感謝しています」と振り返った(坂之下主将)。神宮大会出場まで残り2勝と目前に迫るも、その道は閉ざされることとなった。坂之下主将率いる現チームは幕を閉じるが、最後まで諦めないナインと、ベンチやスタンドの応援からは「情熱」が感じられた。【文:吉田千晃/写真:上田紫央里、吉田千晃】
▼早瀬万豊監督
「(今日の試合を振り返って)鷲尾も最高のピッチングしてくれただけに、かわいそうな思いをさせてしまったなと思います。終わってみれば、もう少し前半で絡んで1点でも打ててたら、もっとつながってたかなと思います。野球は難しいなと思います。ピッチャーは、100球投げたら100通りの球があるように、100試合あれば100通りのゲームがあるので、私が冴えていなかったのかなと思います。(中軸がチャンスで打てていなかったことについて)この球場は、人工芝が長く球足が少し遅くなるので、この球場は長打で試合が決まることが多い。うちは短打ばっかりでつなげようとしていたんですけど、結局長打が絡まなかった。龍谷大は長打ばかりで、その怖さは感じましたし、うちもいい当たりがあったりとかもうちょっとでフェアとかがあった。(主軸の4回生について)やっぱりこの4回生の中心の選手が、もう一回神宮で暴れたいなという気持ちが強かったと思うので、その舞台にのれなかったことが、非常に私自身も責任を感じているし残念。神宮でまた勝負したかったですけどね。(鷲尾について)完全には治っていないんですけど、痛みはとれて、その間に走ることとかネットに投げたりキャッチボールしたりとかそういうのは結構やってこれたので、ぎりぎりだったんですけど、それなりのボールを投げてくれたので、十分期待できると思って今日は頭から。今日は十分、二重丸のピッチングはしてくれたと思います。鷲尾をこういう形で降板させたのはかわいそうやなと。それは私がもっと冴えてたらなと。(4年生について)成長度というか、非常に野球の技術もそうなんですけど、野球以外の人間的にも学年を追うごとに非常に成長してくれた学年だったなと思います。2年の時に神宮で準優勝したので、コロナの時期だけに余計に思い通りにならないもどかしさがあった。神宮で準優勝した次の春も全部中止になって飛んでしまって、一番やりたかったのはあそこだったと思う。うちは春勝ててなかったので、春はという気持ちが強かったんですけど流れてしまって、秋も連勝していたんですけど、途中近大戦前に明治神宮大会も中止になってというところで、非常に残念でかわいそうな時期で。それを乗り越えて、春は辞退したゲームとかもありながら、秋はなんとかということで、秋は8連勝をすることができて最後は落としたりもしたんですけど、成果を出してくれたんで、粘り強さとか成長したことを形にしてしてくれたし、形になった学年だったなと。コロナで制限がある中での取り組みで、人数もうちは200人ほどいるので、その取り組み方も気になりながら、難しいところもこの学年がまとまって、非常にいい53人の4年生だったと思います。(これから社会に出ていく4年生へのメッセージ)これから卒業するまではまだ大学生で、最後までしっかりと学生として取り組んでほしいということと、大学の中で高校にはない色んなことを取り組んでやってきたことは必ず社会に出て生きると思うし、生かさないともったいないなと。仲間を大事にしてほしいなと思うし、野球を続ける者も中にはいるので、やっぱりベンチにも入れなかったとかそういったサポートしてくれた同学年の者の思いを持って社会で頑張ってほしいし、貢献してほしい。それを忘れたらだめだと思います。(神宮に行きたかったか)行きたかったですね。野口とか久保田(拓真)が神宮でまた守ったりしている姿を個人的には見たかったんですけど」
▼坂之下主将
「(今日の試合を振り返って)悔しい気持ちでいっぱいなんですけど4年間みんなとできてよかったなと思います。(何とか先制点が欲しかったのでは)今言っても仕方がないんですけど、先制のチャンスを逃してしまったんで、このチームで野球をすることはないんで何も言えないですけど、来年からはここで一本という時に一本出せるようなチームを作ってほしいなと思います。(4年間を振り返って)4年間色んな思いがありましたけど、悔しい思いの方がたくさんありますけど、裏をかけば2年生の時に神宮大会に出れて良い思いさせてもらってるんで、そこでも日本一になれなかったっていう悔しさがありましたけど、なんとか関西から神宮出て決勝まで行けたっていうことは誇りに思いたいと思います。(チームの主将として一番意識していたこと)3年生までやってきたことと変わらず、元気を出してチームを引っ張ってきたつもりなんですけど、なかなか勝てるチームを作れなくて、こんな未熟なキャプテンでしたけど、皆ついてきてくれて感謝しています。(応援団などの力強い応援について)2年生の時にそれは本当に実感していて、日本一の応援って自信を持って言えますし、あの応援があるから僕らも自信を持ってプレーできているというのは事実です。(次のステージに向けて)社会人野球に向けて、何人か野球を続けるやつもいるので、そいつらと切磋琢磨(せっさたくま)しながらやっていきたいと思います」
▼野口
「(今日の試合を振り返って)負けは成長できるチャンスだと思ってるので、後輩たちには成長できるチャンスをつかんでほしいなと。後輩たちには来年もう一回この場所で優勝してほしいなと思います。(4年間を振り返って)試合に試合に出させてもらったんで、そこは本当に感謝しかないですし、どうしても恩返しをしたかったんですけど、それができなかったんで、次の舞台では恩返しができるようにやっていきたいなと思います。(1年の秋に悔しい思いをしたことについて)やっぱり自分も1年生の秋に悔しい思いをしてそこで成長できるチャンスを掴めたのかなと思いますし、大事な試合で自分も最後のバッターで、今日中井(颯)が最後のバッターで、その悔しい気持ちを胸に刻みながらやってほしいなと思います。(最後の打者となった中井選手が号泣していたことについて)『泣くな』というふうには言いましたけど、あの涙がしっかり次に成長させてくれるのではないかと思います。次は笑って終われるようなチームにしてほしいなと思います。(オリックスでどんな選手になりたいか)やっぱりファンの皆さんに応援される選手になりたいなと思います。ファンの皆さんの期待に応えていけるように日々成長しながら頑張っていきたいなと思います。(プロに向けてどのような準備をしていきたいか)これまではこの試合に向けてやってきたので、明日からは次の舞台に向けて練習していきたい。自分は基礎から足りない部分があるので、入るまでに直せるようにしたいと思います」
▼久保田拓
「(今の心境について)4年間の大学野球が終わって、とても悔しいですけど、この仲間とできて、良い後輩を持てて、チームとしては本当に良かったと思います。(2年前に神宮大会を経験して)2年前と今のチーム状況を見て、絶対に神宮に行かないといけない代だと思ってたんで、本当に行けなかったことが悔しいです。(4回に先制のチャンスで打席が回ってきたことについて)初球まず仕留めきれなかったことが、本当にあの打席打てなかった弱みなのかなと思いますし、最後は三塁ランナーが安藤だったんで、転がせばなんとかなるっていう気持ちでやったんですけど、抜けなくて本当に悔しいです。(三塁手としての出場について)キャッチャーしたかったですけど、出られる場所、任された場所を責任を持ってやるっていうことを考えてたんで、サードで出ようとキャッチャーで出ようと、チームのために頑張るっていうことには変わりはないので、頑張れて良かったです。(捕手の時と違うリズムとなる影響はあったか)そういう理由はなくて、逆に違う面から試合見れて本当にチームがどういう状況であるかだったり、チーム状況を見れたので、自分にはためになりましたし、一つ良いきっかけやったのかなと思います。(関西大学野球部での4年間を振り返って)関西大学野球部は自由にやらせてもらってる部分があるので、自分自身で力がつくつかないがありますし、その中で1年生の時は考えてできなかったんですけど、2年生からは考えるきっかけができて、コロナの自粛期間があったということでレベルアップできたのかなっていうのは4年間とてもよかったと思います。(後輩たちへのメッセージ)良い後輩たちばかりでスキルも申し分ないと思うので、勝つ集団を作って来年リベンジしてほしいなと思います」