快進撃見せ、半世紀ぶりのインカレ4強!

◇第69回全日本学生剣道優勝大会◇10月24日◇エディオンアリーナ大阪
【1回戦】 ○関大4-0香川大
△舘井0-0
〇内城2-0
△岡本0―0
△上田0-0
〇大橋2-0
○小阪2-1
〇廣崎1-0
【2回戦】 ○関大3-2国武大
●舘井0-2
〇内城2-0
●岡本0―1
△上田0-0
〇大橋1-0
○小阪1-0
△廣崎0-0
【3回戦】 ○関大3-1東京農大
△舘井0-0
●内城0-1
△岡本0―0
○上田1-0
△大橋0-0
○小阪2-0
〇廣崎1-0
【準々決勝】 ○関大2-1東海大
○舘井1-0
△内城0-0
△岡本0―0
△上田0-0
△大橋0-0
●小阪0-1
△廣崎0-0
〇廣崎1-0(代表戦)
【準決勝】 ●関大2-4中大
○舘井1-0
●内城0-1
△岡本0―0
●上田0-2
●大橋0-1
●小阪0-1
○廣崎1-0
3年ぶりの出場となったインカレ。1回戦は四国地区2位の香川大学、さらに2回戦以降は関東の大学と強敵が続いた。しかし、各々が実力を発揮する快進撃を見せ、59年ぶりの全国4強入りを果たした。
1回戦は4人が勝利を挙げる戦いで4―0と相手を大きく突き放した。2回戦は国武大と対峙(たいじ)。激しい打ち合いで1本の取り合いが続く。中堅が終わった時点では負けている状況となるが、三将の大橋宙暉(法3)が合い小手面を決め同点に追いつく。続く小阪拓海(人4)が出ばな小手を完璧に決め、1本勝利を収める。最後は廣崎拓真(商4)が相手の猛追からリードを守り切り、3回戦に駒を進めた。


3回戦で戦ったのは直前に関西王者の大体大を破った東京農大だ。次鋒の内城毅(法2)が上段の相手に苦戦し1本負けを喫すると、中堅の上田監基(経3)が面を奪い返し同点に追いつく。ここで試合を決めたのは副将の小阪。同点の場面で2本勝利を収め、チームの勝利を決定付けた。


準々決勝の東海大戦は大きな山場となった。先鋒の舘井慎太郎(経2)が幸先よく面を決め、1本勝利を収める。次鋒以降は引き分けに持ち込み、逃げ切りたいところだった。しかし、要所で大活躍を見せていた副将の小阪が痛恨の引き面を打たれ同点にされる。大将の廣崎も引き分けとなり、試合は代表戦に持ち込んだ。勝利が懸かったこの場面でチームの代表に指名されたのは廣崎。大将戦で戦った松下との決戦に挑んだ。「次勝ったら3位なのでなんとか勝ちだけを望んでいた」と気迫を見せつける。遠間から思い切りのよい鮮やかな飛び込み面を決め、4強入りを手にした。


準決勝の相手は2連覇中の中大。先鋒の舘井が鮮やかな面返し胴を決め先制するも、続く内城は合い面で敗れ同点に追いつかれる。五将の岡本怜大(化生3)が引き分けでつなぎ、両者一歩も引かない場面。流れを持ってきたいところだったがここから3人連続で敗れてしまう。大将・廣崎を前にして敗北が確定してしまった。しかし、ここで廣崎が関大の意地を見せつける。チームは敗れたものの有名剣士である清家から面を奪い、見事に勝利を収めた。


「優勝はしたかったですけど、記録以上に記憶に刻んだ思い出だと思います。3位と言う結果は自分の中で十分優勝だと思います」と廣崎主将。学生最後の大会で力を出し切り、満足のいく結果を残した。関大剣道部は創部初のインカレ制覇に向けさらなる稽古を積む。自分たちの代で成し遂げられなかったさらなる高みを後輩に託した。【文/写真:荒川拓輝】
▼廣崎
「(60年ぶりの3位ですが)何年ぶりとかは考えていなくて、とりあえず優勝を目指していました。3位になって時点で記録を新たに刻めて嬉しいなと思いました。(関西では3位でそれから何に取り組んだか)関西では3位でしたが悔しい思いで終わりました。今度は全国でさらに厳しい戦いになると思っていました。技術は1ヶ月では変えられないですが、チャレンジャー精神で一生懸命かかっていこうと常に部員に声をかけていました。(雰囲気について)1回戦は全国ということもあって会場の雰囲気にのまれそうでした。でも2回戦からは強豪校でしたが2年生も3年生も初の全国で苦しい中、勝ちで回してくれて嬉しかったです。(国武大戦について)皆が勝ちで回してくれたので、僕は絶対に引き分けようと思っていました。(次の東京農大は大体大を破り、勢いを感じたか)大将戦でひっくり返したので勢いに乗ってくると思いました。でも僕たちも国武大を破って勢いに乗っているところで勝てて良かったです。(準々決勝の東海大は代表戦でしたが)覚えていないです。僕は関西の時から何も出来ていなかったです。次勝ったら3位なのでなんとか勝ちだけを望んでいました。(代表戦は廣崎選手が行くと分かっていましたか)監督から代表戦になったらお前で行くとずっと言われていました。でも戻りながら小阪かなと期待をしていましたが自分だと言われ、自分が行きました。(関大には2017年の大会の準々決勝、代表戦で敗れた因縁がありますが)そのことは考えていませんでした。代表戦になって皆が頑張って下さい、お願いしますと言っていて、なんとかしたいと思っていました。一本を取りに夢中でやっていました。(そこで取った一本について)感触は覚えてないですが、これまでやってきたことがその一本で出ました。(準決勝の中大戦では舘井選手が取って良い流れができましたが)頼もしいです。2回生ながら先鋒で、準決勝と緊張する場面でも一本取れるという実力にリスペクトです。(清家選手相手に見事な一本を取りましたが)打った時は覚えていないです。ずっと有名な選手なのでなんとか一本取れたらと思っていました。たまたま振ったのが当たりました。(最後の大会で成果が出ましたが)優勝はしたかったですけど、記録以上に記憶に刻めた思い出だと思います。3位と言う結果は自分の中で十分優勝だと思います。(後輩に向けて)僕が1年間を振り返ると、無駄なことは一つもないと思います。どんなやり方でも、小さなことでも積み重ねればいずれ良い形で返ってくると思います。諦めずにコツコツと頑張って欲しいと思います」
▼鈴井大樹主務(経4)
「半世紀ぶりにベスト4という結果が出て、率直に嬉しいです。副将戦で追いつかれて代表戦になった時はキャプテンの廣崎が勝ってくれるという思いで安心して見れました。(廣崎主将が代表戦に行くというのは決まっていたか)大将戦の前に勝ち数、本数で対になった時点で最後は廣崎だなと思いました。(2017年は同じように代表戦がありましたが)相手も東海大学ではあるものの関西出身で知っている中でありました。ここまで積み重ねてきたもので廣崎が上回ってくれたと思います。(この1年はどんな1年だったか)最初は部活が出来なかった中だったので全体の意識をそろえることが難しかったです。でも新1年生もたくさん入ってきてくれて、関西や全国に向けて頑張れた結果、3位になれて本当に良かったと思います。(主務という立場で何を意識したか)全員で取り組めない時期が多々ありましたが、各練習で差が出ないように均等にし、各グループに入っている4年生が練習を盛り上げるように取り組みました。(前半戦を戦う2年生、3年生について)3年生がリードで回してくれる場面が多く、さらにそれに応えてくれる副将、大将の4年生がいて、とても誇りに思います。(何がこの大きな成果をもたらしたか)全員が一つの方向を向いてやってこれたことが一番だと思います。全員で明確な目標を考えて道場の壁に張り出して、その思いを忘れずに取り組めたことがこの結果につながったと思います。(後輩に向けて)今日の試合を見て分かるように頼もしい後輩です。今回試合に出てない後輩にも素晴らしい選手がたくさんいるので来年以降も期待して見守りたいと思います」
▼小阪
「光栄なことだと思います。うっすら中央大学まで行けたら良いなと思っていましたがまさかそれが実現するとは思ってなかったので嬉しいです。(組み合わせを見た時は)2回戦の国際武道大学が勝負だなと思いました。香川大学も決して弱くない大学なので気を抜けないなと思いました。(国武大は厳しい試合でしたが)緊張感があって、試合をしながら楽しめました。やってやるぞという気持ちでいきました。(東京農大の勢いは感じたか)やっぱり強かったです。やれることはやろうという気持ちで思い切っていきました。(東海大戦は敗れましたがどんな気持ちで大将を見守ったか)負けた側ですけどここで終わりたくないという気持ちで願いながら見ていました。代表戦での廣崎は流石だなと思いました。(1992年に2位になって以来の快挙ですが)あんまり実感はないです。嬉しいなという感じです。(準決勝まできて気持ちを維持するのは難しかったか)僕の場合は準決勝とか3位の意識はなく、前の試合で負けていたので切り替えて、中大戦に挑みました。(この1年を振り返って)目標は日本一でした。でも関東にも強い大学がたくさんある中で自分たちが3位に入れたのは光栄なことだと思います。やり切れたと思います。(後輩に向けて)来年は3位より上の成績を目指して欲しいと思います。実力はあると思うのであとは思い切ってチームワークを作ってやるだけなので頑張って下さい」
▼松井優人(化生4)
「チームのみんなが頑張ってくれてメダルを掛けさせて頂き、悔しい部分もありますが本当に嬉しいです。(朝のチームの雰囲気はどうだったか)本当に良かったと思います。メリハリのあるチームなので楽しむ時は楽しむ、やるときはやるというのが日頃の稽古からできています。今日はその雰囲気が特にいつもより高かったかなと思います。(緊張感はあったか)全国大会でやはり関西とは違う雰囲気があったのでそこは感じている部分はあったと思います。(どういうふうにサポートしたか)チームがより良くなるように雑用をし、応援の部分では人一倍声を出しました。応援でチームを盛り上げようとやっていました。(どういう気持ちで同級生を見ていたか)本当に頼もしいキャプテン、副キャプテンなので、あの2人に回せば間違いないと思っていました。本当に要所要所で2人とも決めていたので頼もしく見ていました。廣崎は厳しい稽古もしますが、自分でも人一倍稽古をします。一番キャプテンがやっているから自分もやらないといけないという気持ちでした。(2、3年生について)チームの勢いを作ってくれて稽古も凄く意識が高いと思います。頼もしい後輩で任せていけるなと思いました。(後輩にメッセージをお願いします)本当に稽古を一生懸命にやっていてこれからも飛躍できると思います。3位という結果かはさらに上にいけるように頑張ってほしいと思います」