三つ巴戦に敗れ惜しくも王座出場逃す

◇令和3年度関西学生リーグ順位決定戦◇対京橘大・関学大◇10月24日◇関西大学弓道場◇
【試合結果】
1位 京橘大 121中
2位 関学大 120中
3位 関大 117中
(全160射)


約1カ月にわたるリーグ本戦を終え、3勝1敗で3校が並ぶという熾烈な優勝争いに。その3校から優勝校を決める順位決定戦が開催された。「王座優勝」を目標に掲げてきた弓道部にとって絶対に落とすことのできない一戦となる。

緊迫した雰囲気の中での1立目。リーグ開幕時から初立の的中率を悪いという課題を抱えてきた関大にとって何とか乗り切りたい場面。前立では佐々木大河(法1)が皆中、菅野竣介(シス理3)が3中と良いスタートを切った。だが、チームとしては計10中と思い通りの結果が出せない。これまでのリーグ戦では前立が的中を伸ばせなくても後立がカバーして持ち直すという試合が見られた。しかし、この日の後立の1立目は7中。チームの目標からは下回る的中数を出してしまい、開始早々に他の2校と7中という大きな差が開いた状態での始まりとなってしまった。


このままでは終われない関大は、井上裕文主将(法4)がすぐさま選手達を鼓舞する。それぞれが修正を図り、前立では國米雄太(社2)と佐々木が3中を果たした。しかし、前立全体で見ると9中とまたも目標的中に届かない。しかし、中西啓(経4)に代えて井上主将を早くもリリーフとして投入した後立が実力を発揮した。髙橋優(法3)と冨田涼太(シス理4)が皆中、さらには林信吾(シス理3)と冨田涼太(シス理4)が3中を達成し、14中という好的中を見せる。しかし、順位決定戦まで残った難敵が相手なだけに序盤にできた差を埋めることは難しい。それどころか暫定1位の関学大とは12中差とさらに離され、厳しい試合展開となる。


一矢報いたい3立目は前立、後立ともにメンバー変更は行わず。菅野の皆中、田中祥弘(シス理4)の3中を始めとして安定した行射を見せる。23中を達成し、暫定1位の関学大との差を10中に縮めた。今リーグの近大戦で見せたような、終盤の粘り強い行射での逆転勝利に期待がかかる。



迎えた4立目では國米に代えて吉田智哉(情4)を投入。その吉田がいきなりチームを引っ張る圧巻の皆中を見せた。それに触発されるように前立は14中、後立は13中と一気に2校との差を縮める。ここで関大は90中とし、他の2校はともに97中。最大12中差あった差を7中差にまで挽回した。



最終の5立目はこの日関大の最高的中数を更新した4立目と同じメンバーで挑む。ここでも吉田が皆中を果たし、この日放った8本の矢を全て的に収める好成績を残した。さらに、他のメンバーも負けてはいない。前立は14中、後立は13中と4立目と同じ好的中数を出した。だが、序盤でできた差を取り戻すことはできず万事休す。最終的には1位の京橘大との差はわずか4中と終盤に怒涛(どとう)の追い上げを見せたが、僅差で悔しい敗戦となった。


この日が引退試合となった4年生にとっては悔しさが残る結果となったものの井上主将は「この負けを糧にしてほしい」と後輩たちへの思いを語った。今期は惜しくもリーグ3位という理想とは一致しない結末となってしまったが、今リーグに出場した下級生を中心に来季こそは王座優勝に期待がかかる。【文:大森一毅/写真:大森一毅・横関あかり】
▼井上主将
「一言で言えば悔しい、ただそれだけです。王座で優勝することを目標にしてきてその王座がかかった試合で実力を出し切れなかったということがただ単に悔しかったです。自分は先発ではなくリリーフとして控えていたんですけど学生生活最後に堂々と弓を引くことができたんじゃないかなと思います。そこだけはよかったなと思います。(チームとして)とにかく技術的なところをやりきる、最後まで諦めない、会はあたりを確信するまでしっかり持つ、ということを踏まえた上で弱気にならず、常にアグレッシブにやっていこうという話をして挑みました。(京橘大戦から)先週の試合も出だしがコケてしまって練習でもその点に意識して取り組みました。しかし、どうしても前日の練習まで修正することができずに今日を迎えてしまいました。(リーグ戦を振り返って)開幕してから毎日練習している中で厳しいことを言って下級生に厳しい場面を任せてしまうこともあって本当に苦しい期間だったと思いますが、この期間で得たものを下級生は残りの学生生活、弓を引くにあたって絶対に今日のこの負けが糧になって次こそは王座に行ってやるという気持ちをもってやってくれると思うので来年以降期待できると思います。(最後に一言)負けることは何もかもが切れてしまうような感覚になるのでそういう思いを後輩たちにはして欲しくない。これから来シーズンが始まるまでの期間で来年の最後笑えるのか自分たちと同じ結果になってしまうのかの分かれ道になると思うので本当に無駄にしないで欲しいなと思います。この期間は代替わりのタイミングで時間的に余裕はないかもしれないですけどそれも言い訳にしないでしっかり来年度笑って終えられるように準備をして勝ち進んで知ってほしいです。自分たちがかなえられなかった王座優勝を後輩たちには達成してもらいたいなと思います」
▼冨田
「応援してくださった方々には説明がつかない結果だと思います。僕自身、部で1番あたっていたのでそんな自分がみんなのためにこんな大事な試合で結果を残せなかったということに対して何も説明がつかないので正直言葉が出てこないです。単純に自分たちの今までやってきたことはやったつもりになっていたんだと思います。あらゆる面で足りないところがあってそれが今回の試合で出てしまったと思っています。(京橘大戦から)どんな流れでもどんな緊張した場面でも自分のことをやりきることを意識して1週間取り組んできました。今日の試合でも最初から最後まで自分たちのことを精一杯やる。それだけを考えてやってきました。(リーグ戦を振り返って)初戦から振り返るとずっと数字が出ないままなんとか優勝決定戦というところまでチャンスを頂けたのは本当にうれしく思います。シーズンの最初とか男子はずっと弱くてこの1年間結果を残していないので他のチームから関西大学の男子は全敗でリーグ終わるだろうなと思われてたと思うんですけど3勝1負でここまで来られたのでそこは少し成長した部分だなと思います。リーグを振り返って力を出せた人も出し切れなかった人もいて助け合いながらやってきたんですけどその中で成長した選手が何人かいるのでその人たちが来年もっと引っ張って欲しいなと思います。(最後に一言)4回生はこれで試合が終わってしまったんですけど今あっけなく負けてしまった自分たちを見て自分が何とかしないといけないと思ってくれる選手がたくさんいると思うのでそういう人たちが来シーズンの頭から力を出し切って日本一をつかみ取ってほしいなと思います」
▼吉田
「スタートが悪かったというのが一番の感想です。そこからチームとしては相手の数字を気にせずにやってきたんですけど結果的に見ると相手のスタートもあまり良くなかったということで最初からの我慢比べでまだ足りないところがあったなと思います。個人としては途中から出て8本すべてあてることができたんですが、けがで最初から引ききることができないという中で8本あてられたことは良かったですが、けがをしてなくてもっと引けたらなと思いました。(京橘大戦から)先週の試合もいいスタートではなかったのでそれを無くしていこうという練習をしていましたが、それを無くしきれなく今日も同じような結果になりました。(リーグ戦を振り返って)4年間の最後で、去年ずっと試合に出させてもらっていた自分があてないといけないという風に思っていて今年始まる前にけがをしてインカレであったりとかはけがが原因で自分はメンバーから外れて久しぶりも公式戦でチームには指導などで貢献していたんですが個人としても試合に出る機会をもらってその中でもうまくいったところとうまくいかなかったところがあったのでそこが個人としてはまだまだだなと思いました。チームとしても練習で出た数字が試合で出ませんでした。逆に練習通りの数字が出たところもたくさんあったので練習と同じことを出すことと練習から失敗を無くしていくことが大事だなと思ったシーズンでした。(最後に一言)やり切ったとは思いますが負けて悔しい気持ちが勝ってしまうのでやり切ったと勝ち切ったという気持ち両方を感じられるような試合にしてほしいし、その試合をするために練習の取り組み方を考えて欲しいです」