近畿選手権、3人が優美な演技を披露!

◇2021近畿フィギュアスケート選手権大会◇10月9・10日◇ 木下アカデミー京都アイスアリーナ ◇
[女子SP結果]
4位 白岩優奈(文2) 51.89
5位 森下実咲(人4) 49.47
14位 久保舞和(人3) 35.99
[女子フリー結果]
3位 白岩 108.10
6位 森下 89.84
14位 久保舞 73.49
[女子最終結果]
4位 白岩 159.99
6位 森下 139.31
14位 久保舞 109.48
ついに開幕した近畿選手権。男子に続き、女子は3人の選手が出場。表現力が光る美しい演技を披露した。
SPの関大勢トップバッターは久保舞。最初のコンビネーションジャンプではファーストジャンプが抜けてしまうも、何とか2回転トーループをつける。軸をしっかりと保ったスピンや、流れのあるダブルアクセルを決め、最後まで目先や指先まで意識。大人の雰囲気漂う演技を披露した。


白岩は、助走時にスパイラルを入れる難しい入り方でダブルアクセルを成功させ、演技がスタート。続く3回転サルコー+2回転トーループも落ち着いて着氷する。途中ループジャンプが抜ける場面がありながらも、スピードと伸びのあるステップシークエンスで魅了。試合後のインタビューではけがに悩まされていることなど苦労も語ったが、「自分らしいスケートをお見せすることが今シーズンの目標」と前向きな姿勢を見せた。




シニア女子最終滑走は森下。笑顔で最初のポーズを取ると、ジャズ調の曲に合わせて華やかな滑りを見せる。3回転トーループ+2回転トーループの1つ目のジャンプで着氷がつまったものの、しっかりとセカンドジャンプにつなげた。曲調の変化に合わせ表情も変える表現力を見せ、その後は着氷まで流れのあるダブルアクセルを決める。最後も笑顔で演技を締め、全体の5位につけた。



翌日に行われたフリーの演技。第1グループに登場した久保舞は最初の3回転トーループは着氷が乱れたものの堪える。その後、幅のあるダブルアクセルを決めると流れに乗り、優美なステップシークエンスで魅了。後半、ルッツジャンプでミスがあったが、直後のコンビネーションジャンプを着氷する。クライマックスでは壮大な音楽に負けない大きな動作でコレオシークエンスを滑り切った。


最終グループには森下と白岩が入った。森下は、冒頭のダブルアクセル+3回転トーループを着氷する。前半は、余裕のある3回転サルコーや安定感あるコンビネーションスピンを見せ、表情も意識された美しい滑りを披露。後半ではジャンプで精細を欠く場面があったものの、手足の長さを生かし全身で『ハレルヤ』を表現した。



続けて登場した白岩。序盤から、転倒など大きなミスなくジャンプをこなす。「一番の注目ポイント」と語る終盤のステップシークエンス。体力的に厳しくなる場面だが、体を大きく使い「強い女性」を演じた。回転の速いスピンで締め、フリーの順位では3位。総合結果では4位となった。


各自今できる精一杯の演技を見せ、白岩と森下は上位に入った。まだシーズンは始まったばかり。次の舞台に向けさらにギアを上げる。【文:森本明日香/写真:アフロ/JSF】
▼白岩(SP終了後)
「いろいろな出来事が重なったりして、自分自身が迷子になった時期もあったりしたんですけど、今日試合に出れてよかったなと思います。けがをしたり、うまく自分の成長に付いていけなくなったりして、今は大きな壁が目の前にある状態だと思うので、その壁をどうやったら乗り越えられるのかなと考えながら過ごしていました。(けがについて)右足なんですけど、リスフラン関節を少し痛めていて。そんなにひどくはないけどよくもないという感じで。スポーツをしている以上けがは仕方のないことだと思うので、うまくけがと付き合いながらやっていきたいと思います。(けがをしたのは)だいぶ前で6月くらい。気づいたら痛くなっていたので練習が原因だと思います。もうスケート人生の中では、今までやってきた時間よりも引退までの時間の方が短くなってきて、出場できる試合数が少なくなっているので、本当はいい演技をみなさんにお見せしたいですし結果で恩返しできたら一番いいですけど、今はそれができない状態なので、せめて少しでも滑っている姿をお見せできたらいいかなと今回出場しました。去年よりもさらに難しいプログラムを本当は準備しているので、それをしっかり出せるように。また、自分らしいスケートをお見せすることが今シーズンの目標です。(フリーへの意気込み)今日よりかは楽しんで滑れたらいいかなと思います。自分1人で考え込んでしまうことが昔から悪い癖なんですけど、それでも家族、お父さんお母さんもそうですし、お兄ちゃん達が心の支えになっていて、これから自分でいろんなことを選択していかないといけない時期になってくるので、自分が選択したことを後悔しないようにしてほしいと言われていて。それを聞いて自分自身をもっと大切にしようかなと、自分を責めてしまうことがあるので、それをなくしていこうかなと思っています。(SPの楽曲について)ジュニアの時からいつか使いたいと思っていて、候補の中に『feeling good』があったので、この曲がいいと言いました。動画を探していて、村元哉中さんがシングルで滑っている動画を見つけて、すごく魅力的な演技で、村元哉中さんのような魅力は出せないですけどって言ったときに、私が演じる『feeling good』は自信溢れる女性を演じてくれたらいいと言われたので、子どもっぽくない、芯のある女性を演じられるようにしたいです」
▼白岩(フリー終了後)
「(笑顔で滑ることはできましたか)昨日よりかはできたのでよかったと思います。(気持ちの切り替えについて)この試合にせっかく出るなら、ショートみたいな不安が顔に前面に出るような演技をしているよりも、少しでもスケートが好きで楽しいっていう気持ちがあるならそれを、その気持ちは全然嘘じゃないので、その気持ちを出して滑ったほうが勇気も出るし、ファンの皆さんも楽しめるんじゃないかなと思って、とにかく楽しむこと、笑顔で滑ることを目標に滑りました。(フリーの見どころは)この曲はたくさんのメダリストの方や、たくさんのスケーターの方が演じていらっしゃって、皆さんのそれぞれの見せ方っていうのがあって、どのプログラムも本当に素敵な表現だと思うんですけど、私はこの『シェヘラザード』で強い女性を演じようと思っていて、また強いだけじゃなくてシェヘラザードの世界観っていうのもしっかりと残したいなと思っていて。一番の注目ポイントは最後のステップなんですけど、本当に去年のプログラムもすごく大変なステップシークエンスだったんですけど、今年はそれを上回る難しい、激しい、細かい、速いステップなので、それをしっかり最後まで体力切れになることなくステップを踏みきれるように頑張りたいと思ってます。(今シーズンの目標、意気込み)今シーズンはリショーさん(=ブノワ・リショー)に2曲とも振り付けしていただいて、2つのプログラムのそれぞれ見せ方、世界観が全く別なので、それをしっかりと演じ分けができるように、また去年と同じような失敗はしたくないので、少しでもパーフェクトな演技に近づけるように頑張りたいと思います。(ポーズに入る時に行っていた、口角を上げる動作について)不安もあるし、緊張もあったので、自然な笑顔があまり作れてないかなと思ったので、自分で口角を上げて笑おうっていうふうに意識しました。(それがいい演技につながったか、今後も使えそうか)そうですね、自分で口角上げることで今日は「よし、頑張ろう」っていう風に思えたので、やってよかったなって思いますし、これからも同じようなことがあるかもしれないので、その時は同じように対処していけたらいいなと思います。(今、練習量は万全な時より少ないですか)かなり少ないと思います。滑れるときはもちろん滑るんですけど、滑れない日は完全オフだったり、無理しないようにしてるので、いつもの近畿(選手権)前とかに比べたらかなり練習量は減っていると思います」