全日見据えて挑んだ西日本。女子は優勝を手にした!

◇第24回西日本学生選手権大会◇10月3日◇吹田洗心館◇
【男子】準優勝
【女子】優勝
【技能賞】八木
昨年度は中止になり、西日本の頂点さえ目指せなった。今年度、辞退する学校が多かったものの、頂点に立てるチャンスは訪れた。11月開催予定の全日本学生選手権大会(全日)に弾みをつけるべく、気合十分で挑んだ拳法部。村鞘風太主将(商4)もこの日の良かった点に「アップのときから気合が入っていて、絶対勝つという雰囲気なのが良かった」と挙げるぐらい、部員全員が目指す方向は一致し、まとまりがあった。


先に行われたのは女子トーナメント戦。初戦の相手は関学大だ。先鋒・福山莉央(文3)は初戦・トップバッターということもあり、動きに硬さが見える。隙を突かれ、1本先取されるもここで屈しない。1本取り返し、1-1となる。両者ともに相手の動きをうかがう時間が続くが、最終的には1本取られ敗北を喫し、中堅・鈴木綾華(文1)に襷を渡す。鈴木は大学拳法に足を踏み入れて間もないとは思えないくらいの落ち着いた拳法で試合を有利に進めた。相手に1本も奪われることなく白星を挙げる。ここで勢いに乗りたい関大。大将・尾藤はるな女子主将(文4)が登場した。周りから聞こえる「攻めろ!」の声。それに応えるかのように尾藤は堅い守りと積極的な攻めを見せ、初戦勝利へと導いた。2-1で関学大戦を終える。



女子の初戦勝利を見守った男子。京産大戦に臨んだ。先鋒を任されのはルーキー・藤井宏彰(文1)。 女子とはシステムが異なり勝ち抜き制の男子は体力面・精神面ともに必要となってくる中、「やれるところまでやろう」という思いで畳に立った。この意気込みが現実となる。先鋒同士の戦いで藤井が先制した後、相手の不正があり勝利したことで好調に乗る。以降2選手を難なく沈めた。残すは4人となったとき、体格差のある選手が立ちはだかる。初めは大きい相手に委縮してしまうものの「仲間が合わせろ合わせろと言ってくれて、言葉通り合わせにいったら1本取れた」。入部後初の舞台で、自分の戦い方をつかんだ良い機会となった。一回り大きい選手を倒した藤井は三将に挑む。徐々に強くなる選手たちを目の前に体力面・精神面両方でつらくなってきた藤井。ここで敗北したものの、5人抜きという好成績でチーム勝利を手繰り寄せた。藤井からバトンを受け取ったのは籠谷郁吹(経2)だ。互いの倒したい思いが拳法に出る。2人の勝敗が決まる前に制限時間を知らせるホイッスルが鳴った。関大から2人、京産大から6人が出た状態で三峰・長谷川元望(法1)の出番がやってくる。1年生ながらも、持ち前の体格を生かし相手を圧倒。関大の強豪選手を出すことなく同大との一戦に備える。



迎えた同大戦。先鋒は1回戦とは異なり桑原良弥(商3)がエースとの一戦を任される。拳で相手との距離を取りながら、組み技に持ち込もうと健闘するが、胴を突かれ畳を下りることに。桑原の悔しさは八木大輝(法1)が晴らした。八木は面の先制で相手先鋒を焦らせる。焦りがプレーにも表れ、相手も攻め切ることができない。時間制限により、八木の勝利となった。その後も安定した拳法を繰り広げ、5人抜きを決めた。「もう少し体力をつけたら、楽に7人まで行けた」と八木。次に待つ龍大戦に体力を温存するべく、ここで棄権という選択をする。そして京産大戦に続き籠谷が同大戦にも出場。相手副将の反則により一勝し、大将と相まみえる。自身で大将を倒したいところだったが、相手の方が一枚上手だった。面2本を食らい、長谷川に託す。長谷川は1本目は胴突き、2本目は面突き蹴りとバリエーションに富んだ技を見せつけ最後の1人に快勝した。


男子が熱い試合を繰り広げる中、京産大との女子決勝戦が幕を開けた。初戦で体がほぐれたことで福山も本調子を取り戻し、1本も与えることなく勝利。続く鈴木も無失点で相手を下し、2-0となる。この時点で関大の優勝が決まった。ただ、ここで気を緩めないのが関大。尾藤は面突きの1本を許したものの、しっかり2本を先取して最高学年のたくましい姿を見せた。また、この試合でおのおのが獲得した2本はどちらも同じ技。福山は面突き、鈴木は蹴り、尾藤は押さえ込み胴突きだ。それぞれの得意技が見えた今大会。「自分の得意技を極める1ヶ月にしたいなと思う」。尾藤は全日を見据えた。

女子の西日本Ⅴに男子も続きたい。今大会の大一番となる龍大戦。勝利すれば優勝だ。昨年度の全日、準決勝で倒した相手だけに敗北の2文字はよぎりもしなかった。先鋒・籠谷が3人抜きをし順調に試合は進む。しかし、4人目の相手が強かった。次鋒・大平翼生(社3)に期待が膨らむが、大平も倒される。3-2で危ない展開となったところで長谷川が登場し5-2と差を広げる。川内宝(商2)も一勝するが、全国チャンピオンである2人目と戦っている途中、蹴りを仕掛けたときに滑って面を受けるなどミスが目立つ。ここから悪い流れが関大を襲う。同大戦で5人抜きを果たした八木が勢いを与えたいところだったが、素早い面突きで仕留められる。エース・植田甫空杜(ほくと=法3)もまさかの敗北を喫し、残されるは村鞘のみとなった。仲間が固唾をのんで見守る中、そんきょを取る。開始後、終始前傾姿勢で攻めるがそれがあだとなり、面を突かれ黒星となった。同時に関大の準優勝が決定した。





今大会を終えて、「実力不足が身にしみた」と村鞘。ただ、八木が技能賞を受賞するなど、1年生の活躍も見れた大会でもある。尾藤の「男女ともに全日優勝で、笑って終わりたい」という言葉を実現すべく、下級生を中心に底上げを図ってゆく。【文・写真:木原綺音】


▼村鞘主将
「(チームの雰囲気)上下関係はあるはあるけど、練習中などは下の者が上に言える関係性で、仲は良いし、でもメリハリをつけるときはつけるという感じ。(今大会まで)基本的には試合形式のような形で練習していた。(調子について)雰囲気は良かったものの、実力不足が身にしみた。練習しないといけない。(良かった点)アップの時からみんな気合い入ってて、絶対勝つという雰囲気なのが良かった。(印象に残った瞬間は)1年生の藤井と八木がとても頑張ってくれていて、練習中も1年生から底上げで盛り上げてくれていたのでその2人の試合が全部良かった。(次戦に向けて)体力的な面では関大が1番あると思うのであとは技術の面を伸ばしていけたらと思う」
▼尾藤女子主将
「(チームの雰囲気)女子は人数多くないし、初心者が多いし、SFで入ったのが私と1年の鈴木だけなので、みんな楽しさもありながらもお互いを高め合えるようにアドバイスし合ったりとか、私も後輩のアドバイスを聞くし、締めるところは締めるし、疲れている日があれば練習を緩めたりしていた。それで今日はみんな疲れ取れてたこともあって動きが良かった。言いたい雰囲気を作れるようにしている。(どんなことをアドバイスされてたか)今日の動きいつもと違うとかあの技見えやすかったとか、言ってくれるのが有難い。(調子について)いつも試合前ガチガチになるけど、今回全然緊張していなかった。最後に団体戦がこの西日本と全日あと2試合しかないし、プレッシャーだけ感じても面白くないから今日は楽しく勝とうという雰囲気でミーティングもしていたら気も楽になって動きが良くなったと思う。(優勝して)お互い褒め合いばっかだった。良かったところをひたすら褒めて、負けた部員も気持ちが下がらないようにという雰囲気で声かけ合った。(全日に向けて)絶対に取れる技っていうのが女子はレパートリーが少ないので、自分になにができるか残り1ヶ月考えて、自分の得意技を極める1ヶ月にしたいなと思う。男女ともに全日優勝で、笑って終わりたい」
▼藤井
「(入部して)練習がしんどいかなとか先輩が怖いかなとか思っていたけど、先輩もすごく優しくて、強くて、今年なら全然優勝は狙えるし雰囲気もとても良いチームだと思う。(どんな思いで今大会に挑んだか)この前の予選では僕は出ていなくて、今回出してもらえたので、与えられた仕事をきっちりしたいなと思って、やれるとこまでやろう、ただそれだけで頑張った。(なぜ決勝トーナメントに出られたか)まだ7人制の試合で人が確定していなくて、試すという感じで僕を使ってもらった。しっかりアピールできたかなと思う。(調子について)今日はガンガン行って、自分の拳法ができたと思う。(自分の拳法とは)相手としっかり距離を取って、体はあまり大きくないので回って回って、前に出るタイミングでしっかり前に出て、そこでポイントを取るっていうのが自分の拳法かなと思う。(印象に残った瞬間は)4試合目の身長が大きい選手と当たったとき、すごくしんどくて、最悪引き分けでもいいと思っていたけど、先輩とか後ろで並んでる仲間が合わせろ合わせろと言ってくれて、言葉通り合わせに言ったら1本取れたので自分だけで考えないと後ろの声も聞くと勝てるとよく分かったので、もっと周りの声を聞くっていうのを意識して頑張っていきたい。(次戦に向けて)自分はそんなに組まれたとき、投げが強くないので体幹を鍛えたいというのとあとはパンチと蹴りの精度をあげる。そして単発で終わってしまうことが多いので、コンビネーション技を何発も当てられるように。そういうところを重点的に練習していきたい」
▼八木
「(入部して)入る前の印象は悪かった。強いから怖いという感じだった。入ってみたら、強くて楽しくて優しいという感じ。入って良かった。(どんな思いで今大会に挑んだか)先輩は、全日の調整という感じだったけど、自分は体力がある方なので、こんな感じの勝ち抜きの戦いで絶対勝ちたいなと思っていて。同志社戦では、自分で4人目まで行っていて、途中で止められたので、次は7人まで行きたい。(なぜ棄権になったか)次が龍大戦で、龍谷が1番強いので、それに向けて体力温存ということで途中で棄権した。(調子について)良かった。もうちょっと体力つけたら、楽に7人目まで行けたので、次は体力つけて戦いたい。(印象残った瞬間は)最後全国チャンピオンにタックルを入れることができて、その時に浮かれたことで返されたところ。次は最後まで頑張れるようになる。(次戦に向けて)自分は体力を温存するタイプの戦い方なのでもっとガツガツせめて、体力つけていって、来年の勝ち抜き戦は1人で7人倒せるようにする」