[なでしこ]逆転劇での白星発進。意地の強さで勝利掴む

◇2021年度関西学生女子秋季リーグ第1節◇対追大◇9月12日
【前半】関大0-1追大
【後半】関大2-0追大
【試合終了】関大2-1追大
春季リーグを2位で終え、目前まで迫った優勝へはあと一歩届かなかった関大なでしこ。秋こそは優勝とインカレの出場権を勝ち取るべく挑んだ第1節。前半は思うようなプレーができず、チャンスをものにされ失点してしまう。だが、そんな逆境にも負けることなくFW笹部麻衣(人4)とFW瀧沢雪乃(人2)のゴールで逆転。初戦で大きな勝ち星を挙げた。

試合開始直後は落ち着いたパス回しで大きなピンチを招くことなく、相手の動きをうかがう展開となる。関大はFW成迫実咲(人4)にロングボールを集めるが、セカンドボールを回収することができず、自陣でのプレーが多くなる。相手の攻撃をしのぎ、関大ペースに持ち込み始めたように思われたが20分に試合が動いた。一瞬の隙を突かれ、左サイドからの突破を許し先制点を奪われてしまう。

飲水タイム後も展開が変わることはなく、中盤での均衡した状況が続いた。しかし、DF中尾純菜(社2)とDF林祐里(人3)を中心に安定した守備から徐々に敵陣でのプレーが目立ち始める。35分にはDF南中優衣(人2)が相手のカウンター攻撃に対して冷静な対応で好守を見せる。その直後に相手ゴール付近でフリーキックのチャンスを得たが、相手の固い守備に跳ね返され、シュートを打つことができない。さらに、前半終了間際にはMF笹部が左サイドを突破し、シュートを放つ。だが、キーパーに阻まれ、ゴールネットを揺らせない。FW成迫を起点にチャンスを演出したがシュートまで持ち込めない場面が続き、1点ビハインドで試合を折り返した。



交代なしで迎えた後半。逆転のために早い時間での得点を目指す。前半は思うようなゲームが展開することはできなかったが、後半開始直後にMF笹部が相手ゴール前へ詰め、シュートを放つ。惜しくも相手DFに弾かれるがコーナーキック(CK)を獲得した。キッカーはDF中尾。精度の高いキックから放たれたボールは相手GKにパンチングされ、こぼれ球をMF田中杏実(人3)が拾うも後が続かず。

後半開始のプレーから関大が流れをつかむ。CKではDF中尾とMF吉尾香音(社1)のショートコーナーで相手を揺さぶり、11分にはFW成迫がMF笹部のボールからサイドへ抜け出す。そしてオーバーラップしてきたDF南中に落としてクロスを放つ。MF塚原碧衣(政策3)とMF笹部がそのボールに詰めるが得点とはならなかった。


攻撃のリズムはつかんだものの、ビハインドの状況で苦しい展開が続く。カウンターでゴール前まで詰め寄られる場面も訪れるが、GK井上沙季(商3)の好判断や、DF真木悠花(文3)の体を張った守備で追加点を許さない。そして、23分にこの逆境を覆す。FW成迫が中央をドリブルで突破し、切り返しで相手DFをかわすと、走りこんできたMF笹部につなぎ、冷静に狙いすましたシュートでゴールを破る。最上級生の連携で同点弾を決めた。



そしてここからは完全に関大のペース。前線の選手だけでなく、全員が奮闘し何度もチャンスを演出する。32分にはゴール前の混戦で人数をかけるがCKへ逃れられる。だが、そのCKからのこぼれ球も関大が拾い、FW瀧沢が頭でゴールへ押し込む。試合終盤での逆転劇を見せた。


その後も、攻めの姿勢を見せつつ粘り強い守備でゴールを死守。42分に自陣でのファールを与えてしまうが、残り時間を耐え切りホイッスルが鳴る。全員の力で白星を挙げた。
開幕戦での逆転劇。チーム全員が自分たちの力を信じたからこそ勝利をつかみ取った。「チームで戦うことで勝利につながる」と、DF笠原黎々花女子主将(社4)。この勢いを生かし、リーグ優勝へ向け突き進む。【文/写真:宮本晃希・大森一毅】
▼DF笠原女子主将
「90分という試合が久しぶりで、春も追手門を相手に苦しい試合をしていたので、苦戦は予想していた。そこでどれだけ粘って取るところで取るかを話していて、それを体現して勝てたのでよかった。(春から秋に向けて行ったことは)シュート数の少なさが課題に挙がっていたけど、この試合でシュート数が多かったわけではない。そこはリーグを通して改善していきたい。90分が苦しいことは自分たちでもわかっていて、点を取られても取り返す力があると自信を持って後半に入れた。ベンチも含めてお互いがお互いを信じて取り組めた結果だと思う。春リーグで、チームで戦うことで勝利につながることがわかったので、春よりもっと気持ちを入れることを全員が言っていた。自分たちの強みでもあるし、磨いていこうともしているので、この試合を通して自分たちでも感じることができ、徹底してやっていく。(次節以降に向けて)今日も苦しい戦いが続いた中での勝利だったけど、インカレや日本一を目指す上では勝ち点3を取ることが大事だと思う。春も勝ち点を取れなくて優勝を逃したので、1試合1試合絶対に勝ち点3を取ることを意識して、全員で刺激し合っていきたい」
▼MF笹部
「最初から気持ちも雰囲気も圧倒して、すべてにおいて負けないようにと、練習から意識してやってきた。昨日の練習も、全員が明日に向けて良い準備をしようと話して今日に挑んだ。でも、序盤は蹴られたボールに前から押し込まれて、自分たちにとって嫌な時間が続いてしまった。でも、後半で相手の足が止まるということは春を通して分かっていたので、後半にチャンスが来ると話して勝ち切ることができたのはよかった。(春から秋に向けて行ったことは)春季リーグ優勝を掲げて挑んできたけど、2位で終えてしまい何も得ることができなかった。今までと同じ取り組みでは秋も通用せずに終わってしまう。練習の中で守備のプレスを激しくいくとか、マイボールの時間を失わない回し方を練習してきた。そういう細かいところはチームとして意識してきた。その中でもコロナの影響で思うようにみんなでサッカーをすることができなかったけど、自分たちのできることをやろうと言って、映像を見たり、分析するといったチームにプラスなことを春から秋に向けて取り組んできた。(同点ゴールについて)最初は成迫が打つかなと思っていたけど、信じて走ってよかったかなと思う。自分が4回生として最後のリーグに挑むにあたって、何か結果を残すことと、チームが勝つために何ができるかを考えた時に、前のポジションにいる限りは点を取ることが一番かなと思った。そこでしっかり決め切ることができて、良い雰囲気に持っていけたのでよかった。(次節に向けて)あと6試合全部を消化できるかもわからないし、保証もない。だからこそ迎える1試合1試合を大切にしていきたいし、無駄にしたくないと思っている。目標の日本一を達成するためにまずは秋リーグを優勝したい。次は1週間もないので、良い準備をしていく」
▼FW瀧沢
「開幕戦ということで、難しくなる試合だとはみんな言っていた。先制点を奪われたけど、自分たちのゲームをしようと、後半でも声を掛け合って、勝ちにつなげられてよかった。(春から秋に向けて行ったことは)チームとしては守備が弱いというところがあって、自分は最近背後に抜け出すことに取り組んでいる。(得点シーンについて)自分自身、春リーグでも追手門戦で決めていたので、今日決められるイメージと、FWとして取らなくてはいけない気持ちがあった。同期のFWの子がけがをして試合に出られないので、その子のためにもというのがあって、ゴールにつなげられたと思う。(次節に向けて)秋リーグ全体として難しい試合になると思うけど、チームの特徴を生かして勝っていきたい」