女子が16年ぶりに関西選手権V!

◇第65回関西学生選手権大会◇男女団体決勝トーナメント◇7月25日◇関西大学弓道場◇
【男子】
[1回戦]
●関大A12-13同大A(全20射)
【女子】
[1回戦]
○関大C9-8桃山大B(全12射)
[2回戦]
○関大C11-6京産大C(全12射)
[準決勝]
○関大C9-9京橘大A(全12射)
同中競射:関大C6-4京橘大A(全6射)
[決勝]
○関大C10-9大経大A(全12射)
1週間前に予選が行われた今大会。関大は男女各1チームが勝ち上がり、本日の決勝トーナメントに挑んだ。
午前中に行われたのは男子団体。佐々木大河(法1)、菅野竣介(シス理3)、中西啓(経4)、國米雄太(社2)、冨田涼太(シス理4)が出場した。1人4本という限られた矢を1本ずつ丁寧に引いていく。しかし、序盤から思うように的中しない状況となる。「試合経験が少ない5人で、練習では生き生きと引けていても試合本番になったら縮こまって思うように引けていない」と、メンバーをサポートした井上裕文主将(法4)は語る。下級生が3中を出すなど健闘したが結果は12中。13中を出した相手にあと1中及ばず、初戦敗退となった。





続いて女子が登場。関西選手権とは相性が悪く、予選を突破することさえ難しいと言われていた女子。そんな中、見事Cチームが決勝トーナメントに進出した。宮本紗衣(文3)、小原沙輝(法2)、奥野早紀(化生3)の3人が初戦で挑んだのは桃山大B。試合の流れを左右する1本目で、大前・宮本が外してしまう。しかし、小原が動揺することなく着実にあて立て直すと、奥野もそれに続いて決めた。終始落ち着いた行射を見せ、予選の四ツ矢を上回る9中を記録。相手を1中上回り、僅差の戦いを制した。


続く2回戦も、良い雰囲気のまま道場へ入った3人。調子の良さを裏付けるように、3人の矢は次々と的へ吸い込まれていく。外す気配を一切見せず試合が進み、宮本と奥野が皆中を果たした。小原も3中となり、合計11中の好的中数で相手を圧倒した。


順調に勝ち進み迎えた準決勝で、試練が訪れる。宮本が2回戦に続き皆中となるなど、大きなミスなく9中を出したが対戦校の京橘大Aと同点に。同中競射にもつれ込んだ。「さすがに緊張しました」と小原。より一層緊張感が高まる中、3人は強さを見せつける。1人2本ずつ放たれた矢は見事的中。プレッシャーに打ち勝ち、6-4の完全勝利で2位以上を決めた。


優勝が見えた場面でも、「自分の射をするだけ」と気持ちは揺るがない。重要な1本目を全員が決め流れに乗った。誰かが外しても次の選手がしっかり射止め、崩れることなく的中を重ねた。運命を分ける最後の1本を奥野が決め、1中差の接戦を勝ち切り優勝を果たした。



結果が分かると、メンバーや森千都歩女子主将(社4)は涙を浮かべながら16年ぶりの優勝をかみしめた。今までの団体戦で常連メンバーではなかった3人。それでも関西の頂点に立ち、関大弓道部女子の層の厚さを見せつけた。男女ともに来月には全日本インカレも控える。次は全国の頂を目指す。【文/写真:森本明日香】
▼井上主将
「今日引いてくれていた5人の選手たちの練習からずっと見ていたんですけど、やっぱり練習通りの射、技術を試合本番で思う存分出せなかった。試合経験が少ない5人で、練習では生き生きと引けていても試合本番になったら縮こまって思うように引けていない。男子のAチームの5人でそういう弱さが見えてしまうということに危機感を感じています。どうしても、テストもあって練習試合とかで試合経験を積ませてあげるということができないので、残り限られた時間でそのメンバーだけの練習のときにいかに試合本番を想定させて、メンバー練習以外の普通の練習のときに技術面を、幹部を始めとして上回生がしっかり下級生に試合で通用する技術を身に付けさせたいです。(今後に向けて)監督・コーチからお話があったように男子全体として危機感をまだ持てていないので、ミーティングを重ねて男子の課題を全体に浸透させていきたい。まず自分たちの現状を知って、そこからインカレ、リーグ戦、王座(決定戦)に向けてどう持っていくかだと思うので、まずは自分たちの今の現状を分かるところから始めたいと思います」
▼宮本
「Cチームはさっき森さんがおっしゃっていたんですけど、優勝はもしかしたらいけるかもという程度で、Aチーム、Bチームの方が実力のある人ばかり。Cチームは、記念出場ほどではないけどそこまで優勝を期待されるようなチームではなかったんですけど、そういうチームでも優勝できてすごくうれしいなと思っています。私は(1回戦の)四ツ矢で最初の1本と最後の1本を抜いてしまったんですけど、抜いたあと後ろの2人があててくれて、いいチームだなと思ったし、練習でも誰かが崩れても誰かがあててくれるという全員で支え合うようなチームで、誰か頼みのチームではなかったことがすごく大きかったのかなと思います。私があたらないときもあれば小原や奥野があたらないときもあって、そういうときでも全員が崩れることがほとんどなくて、勝った要因としては全員で支え合うというのを最後までできたことだと思います。正直、勝てると思ってなかったんですけど、勝ててうれしいです。去年とかは本当にあたっていなくて、同期が引いているのを外から見ているという感じで、うらやましいなというのもありますし、悔しいなという気持ちもすごくありました。今はメンバーではないんですけど、去年弓道初心者だった子がメンバーに入っていて、それを見て『負けてるな』と思う気持ちもあって、去年の夏頃はあまり真剣に取り組めていなかったです。7月くらいにコロナの自粛期間で活動停止になったので自宅で練習しないといけない状況で、家での練習は学校でやるよりも適当になってしまったなと反省しました。なので次の冬にまた自粛期間があったんですけど、次は絶対あのときと同じことは繰り返さないと決めて、筋トレとか家でも弓が引けたので動画を撮って上回生に見てもらったりもして、自分の足りないところを洗い出して修正してというのをやってきて、自粛明けとかも最初はあまり良くなかったんですけど、それでも同じように筋トレとかも続けていっていると少しずつあたるようになっていって、まさか私も半年前までは試合で弓を引いていると思っていなかったんですけど、地道な努力は今の自分には必要だったしそれがあったから今の自分があるんだろうなと思います。(決勝での緊張はあったか)あったんですけど、この間のインカレ予選も通ることができたんですけど、その時に、射技の中で意識するポイント1つ1つを確認しながら着実にこなして、『この瞬間に集中する』と決めてやったらうまくいったのでその時のようにやろうと思いました。1本に対する集中というのが、今回緊張したけどそれに打ち勝てた要因かなと思います。(今後に向けて)まだまだ大学始めというのもありますし、現状Cチームという、主力のメンバーというよりかはリリーフで控えているような位置にいるので、記録会でいい結果を残した三屋さんとか髙平さんたちに続けるような選手になりたいなと思っています」
▼小原
「緊張もあったんですけど緊張よりも楽しいとかいい雰囲気で入れたので、(2回戦で)11中出たときは最初からどんどん詰まっていって、正直いけるなと思ったしすごく楽しかったです。私は最後抜いちゃったんですけど、それも嫌な抜き方ではなかったし先輩があててくれて、後ろが絶対あててくれると信じていたのでとにかくたのしくできました。(準決勝の)同中競射はさすがに緊張しました。私は実際、予選の時の競射を全部外してしまって先輩頼りという感じになってしまったので、流れは良かったんですけどまた競射で抜いたらどうしようというのは結構頭にありました。でも最初から宮本さんがあててくださったので、自分のすべきことをしてあとは流れに任せたらいけるなと思いました。全員そろったので良かったです。決勝戦は正直そんなに『これ勝ったら優勝だからあてないと』と感じたりガチガチに緊張したとかは全然なくて。でも相手が大経大さんと分かっていて、的中も出してくる大学だけど、そんなに『あてよう』と思わずに楽しいという気持ちで今までと同じ感じで入れたので、決勝戦だから気持ちが変わるとかはなかったです。練習ではAチームが強い、安定した的中で、Cチームも波がありつつ、いい的中も出るけどその日に全部がいい的中で終われるというのはあまりなくて、9中を目標に入ったけど8中が出てしまったりとかもっと悪い数字になったりとかがあって、不安なく本番が迎えられたわけではなかったし、CチームがA、B、Cのなかでは実力のあるメンバーを上から取っていった3番目だから、みんなにも期待されているのはAとかだったと思うし、練習でも絶好調というわけではなかったけど、自分たちのできることだけをしようと積み重ねてきたことが優勝につながったのかなと思います。(今後に向けて)次出る可能性がある大きな大会はリーグで、今回の関西選手権も日本一というわけではないし、課題がなくなったというわけではないので、自分の中の課題を練習でつぶして今回のCチームで学んだ自分のことだけ集中してやるということを生かして調整して、次はリーグでメンバーになって日本一を取りたいです」
▼奥野
「決勝トーナメントに進めることになってから1週間あって、その間にテストがあったので思うように練習ができずに、正直練習量でやり切ったという感覚がなかったので、不安な部分が多少あったんですけど、その中でも自分たちのやるべきことをやろうと予選のときから言い続けて、今日どの試合のときでもそれを忘れずにやり切ることができて。そういう面ではどれだけ練習時間が短くても1つのことをやり続けてそのことに集中して他のことを考えずにできたというのが大きかったと思います。それを3人ともできたから今日の優勝につながったのかなと思って、1週間やってきたことは間違ってなかったのかなと思いました。(良かった部分)初戦だと思います。初戦で大前・宮本が1本目を抜いたときに普通だったら緊張してしまうと思うんですけど、その後に小原がしっかり決めてくれてそのまま波を作ることができて1本差で勝てたので、まずはそこで勝ち切れたことが大きかったと思います。もう1つは競射になったときで、6-4で結果的には勝ったんですけど、あの競射で心が折れて弱気になってしまっていたら、もし誰かが1本目の段階で抜いてしまっていたらたぶん勝ちきれなかったと思っていて、そこで3人ともが6本決めきることができたので、それが優勝につながったのかなと思います。優勝できるかもしれないというのは極力考えないようにしていました。自分のやることと3人でやることだけを考えて、誰が抜いたとしても動揺とかせずに落ち着いてもう1回自分の射をするということだけを考えてやっていたので、『優勝できるかも』と大きく心が動いたわけではなかったけど、自分の最後の4本目というのは結構緊張しました。結果的にはあの1本があたったから10-9で勝てたので、あれがあたってなかったらと思うと怖いですけど、そのときに『この1本あてないといけない』ではなくて、いつも通りやって最後まで意識すべきことだけに集中してやれば大丈夫と言い聞かせて落ち着いて1番いい矢が出たのでそのように考えられたのは良かったです。(16年ぶりの優勝について)入部式のときに女子が関西選手権ととても相性が悪いという話があって、予選を通過することがまずできない、予選通過できたときは優勝とか入賞していると聞いて怖いと思ったんですけど、逆に考えたら自分たちの名前を残すことができるのはそこしかないと思いました。昨日から優勝まで勝ち進んでいくといういいイメージしかなくて、自分たちで歴史を動かしたいと3人で話しているときにも言っていたのでそれを達成できて良かったです。(今後に向けて)自分はインカレの予選を通過したので、インカレに向けてそこでも結果が残せるように練習していきたいと思います。女子としては、リーグ戦が始まるのでそこで全員で勝っていけるように、そのために自分が力になれるように1本1本集中して練習していきたいと思います」