近大に2連敗。今季リーグ優勝は消滅
◇令和2年度関西学生秋季リーグ戦第6節◇対近大1回戦◇10月18日◇ほっともっとフィールド神戸◇
関大 000 000 100=1
近大 200 300 00Ⅹ=5
(関)辰己、桃尾、古西、高野、鷲尾―久保田拓
(近)大石、久保―井町
1(中)安藤
2(三)久保田有
3(一)上神
4(遊)野口
5(捕)久保田拓
6(二)坂之下
7(左)小河
8(右)吉川
9(投)辰己
神宮大会出場のみならず、リーグ優勝、関西制覇の目標さえも儚く散った。延長11回タイブレークにもつれ込んだ激戦から一夜明け、行われた近大との2回戦。序盤に5点のリードを許し主導権をにぎられると、チャンスであと1本が出ないまま終盤へと突入。副将の阪倉涼太郎(4年)や西川将也(4年)ら4回生の活躍で1点を奪い返すも、逆転はかなわず。2年連続秋季リーグ戦優勝が消え、4年生の引退も一週間後に迫ることとなった。

最初にマウンドに上がったのは、大学初先発となる辰己晴野(2年)。初球から安打を許し、犠打で得点圏に走者を進められると、四球と暴投で先制を許す。さらに、2死一、二塁で6番・向に左中間二塁適時打を許し、初回から2点を失う。


次に登板したのは桃尾岳宜(3年)。3回、先頭打者に安打を許すも、前日の決勝で被弾した佐藤をわずか3球で三振に抑え波に乗る。だが続く4回、リズム良く2死を奪った矢先のことだった。安打と四死球が重なり、あと1アウトからまさかの3失点を喫す。ここで桃尾は降板し、古西祥真(1年)がマウンドを託される。1人目に四球を与え、2死満塁とさらに悪い戦況に。だが、後続を打ち取り、それ以上の失点は防いだ。


5回終了まで出塁したのは2人と、相手先発の大石に完璧に抑えられていた関大。後半に全てを懸け、チャンスが訪れたのは6回。2死から久保田有哉(3年)が出塁し、上神雄三(2年)と野口智哉(3年)の内野安打で満塁の好機を迎える。打席に立ったのは久保田拓真(3年)。カウント1-1から4球ファールで粘り、フルカウントから投じられた8球目。バットはむなしく空を切り、久保田拓は地面に膝つく。待ち望んだ得点のチャンスだっただけに、関大ベンチの落胆も大きかった。




それでも諦めない関大は、6回裏にエース・高野脩汰(4年)が三者凡退に抑えリズムをつかむと、続く7回表に副将・阪倉が2死から右中間打を放ち、反撃の狼煙(のろし)を上げる。さらに西川将も左翼線へ打球を運び、一、三塁に。ここで、1番・安藤大一郎(3年)の打球が三塁手の悪送球を誘い、その間に阪倉が帰還。4年生がつなぎ、1点を奪い返すことに成功した。





ビハインドが4点に縮まり、7回から登板した鷲尾昂哉(2年)が2回を2安打3奪三振に抑え、無失点で攻撃へのリズムを作る。迎えた最終回。1死から有馬諒(1年)が失策で塁に出る。続く打席に2人目の副将・林大智(4年)が三振に倒れ、2死に追い込まれてしまう。だが、安藤が死球を受けなんとかつなぎ、2死一、二塁と得点圏へ走者を進める。打順が回ったのは、今季打率3割越えの久保田有。好打者へすべての期待が寄せられる。勝負が決まったのは初球。打球はこの日2失策の三塁手・佐藤のもとへ飛ぶも、きっちりとさばかれアウトコールが響き渡る。目指した関西の頂点への道は、ここで絶たれることとなった。





「力を出し切れずに終わってしまったことが悔しい」(吉川周佑主将=4年)。昨秋優勝校として、満を持して臨んだ今季。残り1節を前にしてこのリーグ優勝が消える結果となった。だが、甲子園球場での関関戦で、まだ覇気の見せどころは残っている。かつて憧れた高校野球の聖地で、吉川主将率いる現チームの最後の時を迎える。【文:中西愛/写真:中西愛、金田侑香璃】
▼吉川主将
「序盤に先制されて、なんとか流れを持ってこようとしたが、うまく波に乗り切れずそのまま試合が流れてしまった。力を出し切れずに終わってしまったことが悔しい。(大石投手について)自分は苦手だった。昨日も投げていたし、見てはいたが…。良いピッチングをしていて、隙はあったが突けなかった。(後半に向けてなんと声掛けを?)後半勝負だとずっと言っていた。気を緩めず、こちらにチャンスは絶対に来るから、逃さず、諦めず、逆転しよう、と。(雰囲気は?)それはいい感じで盛り上がっていた。みんな諦めていないところはあった。ベンチはすごくいい雰囲気だった。(4年生の活躍について)阪倉が僕の代わりに出て、つなげてくれた。流れを変えてくれるつなぎ方をしてくれたので、こっちから見ていてもうれしかった。西川と2人が活躍してくれて、相手のエラーもあって1点が取れた。結果上はエラーの1点だが、こちらからすれば大きな1点。本当に良かった。(優勝がなくなってしまったが?)正直、勝てる試合だった。その分非常に悔しい。自分も含め、力を出し切れずに負けてしまったことが1番悔しい。(次節に向けて)あと一週間、成長できる部分はある。全員が成長できるように、切り替えて練習をするのと、僕らの一週間、後輩は見ていると思うので、最後は悔いなく笑って終われるように頑張りたい」
▼阪倉副将
「リーグ戦が始まってから出番があまりなかったが、その中でも、練習の時からいつ出てもいける準備を常にしていた。今日はヒットが打てて、準備をしてきて良かったなと思った。出ているのが下級生ばかりで、ああいうビハインドの状況は今回のリーグ戦で少なかった。そういうのに慣れていない下級生の子たちのためにも、僕ら4回生が雰囲気から変えられたらいいなといつも思っている。ベンチでもそういった声掛けを心掛けている。プレーで示せたこと、雰囲気を少しでも変えられたことは良かった。(最終戦に向けて)最後の試合、リーグ戦となる。僕も野球人生が終わる。試合に出るにしろ出ないにしろ、4回生らしくチームを盛り上げ、勝利につなげたい。今までと同様、4回生がベンチワークや声掛けでチームに貢献していきたい」