[なでしこ]皇后杯あと一歩届かず。この借りはインカレ出場決めて返す。
◇第49回関西女子選手権大会兼皇后杯JFA第42回全日本女子選手権大会関西大会◇対スペランツァ大阪高槻◇9月27日◇J-GREEN堺◇
【前半】関大0-1 スペランツァ大阪高槻
【後半】関大0-1 スペランツァ大阪高槻
【試合終了】関大0-2 スペランツァ大阪高槻

皇后杯予選を勝ち進み、ついに、勝てば本戦出場が決まる大一番に足を踏み入れた。相手は格上チャレンジリーグ所属のスペランツァ大阪高槻。強い相手ではあるが、関大なでしこは下剋上を果たすべくこの一戦に臨んだ。

前半から相手に主導権を握られる展開となるが、関大なでしこも堅い守備で得点を許さない。DF林裕里(人2)は相手にシュートを打たせる前にしっかりと処理をし、GK井上沙季(商2)は積極的に前に出て、何度もボールをキャッチ。相手に得点機を生ませなかった。苦しい展開でも、MF田中杏実(人2)が相手のパスを遮ったり、DF南中優衣(人1)が前線へボールを供給したりとチャンスを演出。MF藤崎愛乃(人4)のスライディングや、DF中尾純菜(社1)の体を張ったディフェンスでスコアの均衡を保った。



しかし29分、ついに試合が動く。一瞬の隙をついた相手がゴール前にボールを運び出し、パスを受けた選手が確実に仕留めた。「パススピードや連携したパス回しなど、私たちとは全然違っていた」とDF真木悠花(文2)。スペランツァが本領を見せた。その後、MF笹部麻衣(人3)が起点となった攻撃で反撃を図るも、得点にはならず、試合を折り返した。


メンバー交代なしで迎えた後半戦。追いつきたい関大だったが、10分、ゴール前でファールを取られPKを与えてしまう。相手は確実に枠に収め、追加点を挙げた。それでもFW大田萌女子主将(文4)は「まず1点取ろう」と声を出し続け、チームの士気を上げる。すると、関大にもチャンスが。DF真木からFW塚原碧衣(政策2)につながり、シュート。1度はキーパーに止められるも、FW大田が滑り込み、ゴールを狙った。だが、惜しくもこれはオフサイド判定。下剋上の一点にはならなかった。


関大は劣勢でも決して諦めなかった。MF成迫実咲(人3)はハードに動き、チームを鼓舞。DF林の強気な守備も光った。相手のセットプレーから再びピンチを迎えるも、GK井上がパンチングで弾き出し、主将のFW大田も体にボールを当てて必死にゴールを守った。終盤になるとFW瀧沢雪乃(人1)、MF鳥本みずほ(法4)を投入し、どうにか得点を狙ったが、このままスコアは動かず、試合終了となった。



「キツかったけど楽しかった」。FW大田はこう振り返った。GK井上も「とても楽しかった。個人的には今チームが始動してから一番イキイキとプレーできたのではないかと思う」と話す。今まで皇后杯予選を一勝もしたことがなく、戦うことの叶わなかった相手と対戦できたことは、関大にとって大きな価値があることだった。
リーグ戦でいまだ勝ち点のないなでしこ。しかし、今回の経験は今後のチームの着火剤となるはずだ。皇后杯予選でつかむことのできなかった全国への切符は、リーグ戦で上位に入り、インカレ出場を決め、取り返してみせる。これからも関大なでしこから目が離せない。【文:勝部真穂/写真:遠藤菜美香】


▼FW大田女子主将
「キツかったけど楽しかった。戦い方をいつもと変えて守備を固めたが、それを打開された時に得点をどこから取りに行くのかっていうのが難しかった。試合前は格上だし、強いっていうのはわかっていたので、ピッチに入ってから相手の強さに焦るとかはなかったが、個人のところでフィジカルも技術も上回られていたなと思う。悔しいのはカウンターで得点して相手にプレッシャーをかけれなかったこと。相手も勝てると思ってたと思うのでそういうのを逆手にとって大学生ってこんなにできるんやっていうのを見せてやりたかった。課題は、守備に徹してる中での得点や攻撃。(プラスになったことは)新たな形で戦うことで自分たちの経験値になったし、強い相手とすることで、関西学生女子リーグで当たる強いチームを見据えてプレーできたのは良かった。(皇后杯全体を振り返って)今まで、大阪府予選の1回戦も突破したことなかったんで、幸運も重なって自分たちの力で大阪突破して関西大会2回戦まで来れたのは本当に良かった。普段大学生を相手に試合をすることが多いので、新たな発見があったり強いチームと試合ができたりと総じて楽しかった。本当にいい経験になりました。(リーグ戦への意気込みは)この大会で得たものや改善すべき点を生かしてリーグでまずは勝ち点3、そして目指すインカレ出場達成のために勝ちにいきたい」
▼GK井上
「率直に言うと、とても楽しかった。個人的には今チームが始動してから一番イキイキとプレーできたのではないかと思う。チームとしてもゴール前で体を張ったりと全員が必死になって戦っているように感じた。格上相手と言われていても、できることもあり、手応えは少し感じられたのではないかと思った。しかし、失点を許してしまい勝ちきれないところにまだまだ力の足りなさを感じた。(相手は)やはり格上ということもあり、身体的にも技術的にも能力の高さを感じた。特に、止めて蹴るの基礎がしっかりとしているため、ボールを持った時のミスが少ないなと感じた。また、プレー面以外では学生よりも年上の人が多い中、礼儀がしっかりとしていてそこでも余裕や強さを感じさせられた。関大はブロックをして守備に徹していた部分があったが、個々の部分で力の差があったように感じた。早いスピードの中やボールが浮いている時でも止めて蹴るを安定してできなければならないということは私たちの課題であると思う。ゴールネットを揺らしたもののオフサイドになり得点にならなかったシーンは悔しかった。(収穫はあったか)個人としては背が低くても果敢にコーナーキックに対してチャレンジすることができていたのは良かったと思う。チームとしても前からのプレスをやめないことや体を張ること、声をかけ続けることで最後まで戦う姿勢は持てていたのではないかと思う。そういった部分では以前よりもまとまりを感じられ、格上相手でも戦えるというモチベーションにもつながったように感じます。(皇后杯予選全体を振り返って)大阪府予選では2回戦が山場と言われている中、相手チームが棄権して関大に運が転がってきたと思った。3回戦からは先に失点されたり僅差の試合が続いたが最後まで諦めずに戦った。また、途中出場の選手が得点を決めたりと、チーム内での層が厚くなってきたことにより関大の中でも競争が生まれたことが初の関西大会出場にもつながったと思う。(リーグ戦への意気込みは)私たち関大の女子チームはこれまでインカレ出場を目標に置いて取り組んできた。コロナウイルスの影響で春リーグがなくなったり、イレギュラーがある中でもミーティング等を繰り返し、目標に向かって進んできた。また、けがをして練習ができない選手もいろんな形でチームにかかわり一緒になって戦ってきた。2戦を終えてまだ勝ち点はないが、ここから関大の底力を見せて巻き返していきたい。インカレ出場!絶対に果たしたいと思います」
▼DF真木
「高いレベルの相手とやらせてもらって、自分の通用する部分やこれから磨いていかなければならない部分がはっきりした。負けてはしまったが、学ぶことがとても多かった。今回の試合で学んだことを今後に生かしていきたい。(相手は)パススピードや連携したパス回しなど、私たちとは全然違っていたと感じた。また、ほとんど技術的なミスもなかった。普段から高いレベルでプレーされているとあって、基礎の部分がしっかりしているチームという印象。課題は、止める蹴るといった基礎的な部分の技術を高めていくこと。強い相手と戦って、もっと高めていく必要があるなと感じた。悔しい点は、本選出場のチャンスを逃してしまったこと。ここまで苦しい戦いも多かったので、この試合に勝ちきり、何としても本選に出場したかった。基本的な部分の技術がまだまだ足りていないという課題を再確認できたという点は、とてもプラスになった。結果としてはここまでこれたが、内容を見てみると、個人としてもチームとしても、もっとプレーの質を高めていかなければならないと感じた。強い相手に勝っていくには、まだまだであるということを実感した。リーグ戦はまだ1勝もできていない状態。女子チームが掲げる「インカレ出場」に向け、残り5試合は絶対に勝たなければならない。厳しい戦いが続くとは思うが、チーム一丸となり、勝ちを積み重ねていく。そして必ずインカレ出場をつかみ取ります」